後入りのトップとやり方が合わず、長きに渡って志を共にしたチームも反旗を翻した。
小さい頃から、漠然とながら、大きな、前向きな変化を社会にもたらしたいと意識し、幾度の挫折を経ながらも、厳しすぎるほどに自らを律して行動してきた私であった。しかし、今回に限っては思うことがある。
私に社会は変えられない。
悲観的になっているわけではないと言っても強がりに聞こえるだろうが、必ずしもそうではない。
今までのやり方のままでは、世界を変えることは、僅かでも前向きなインパクトを与えることは、私にはできない。今私はそう強く思う。
今までの挫折に対する反応と大きく異なるのは、最近になってアスペルガー症候群の診断を受けたことに由来するのだろう。
物心ついた頃から、言い知れぬ生きづらさを感じてきた。幸いにも運と環境には恵まれ、親の許可のもとに義務教育を放棄し、留学の名の下に海外に逃避し、社会人になってからもフリーランスに近い形態で働いてきた。
ただ、私みたいな弱い人間でも自己実現を追求しやすい社会を実現するためには、独りの力では限界がある。下克上で急速に社会に変革をもたらす海外のスタートアップに魅了されたのは、そんな思いからだった。
とはいえアスペルガーにとって、チームで働くことは容易でない。高い理想と強い確信があるからこそ耐え忍ぶことが出来るが、1日が終わる頃には疲労困憊で、にもかかわらず感覚過敏で夜は眠れない。
追い討ちをかけるように、我の強さが災いして起こる衝突は日常茶飯事で、今回の件も、その極端な例の一つだった。
今までであれば、一定の反省を終えた後に、運が悪かっただけと気を取り直し、再度挑戦を試みたものだったが、今回は違う。
自らの遺伝的特徴を明確に認識した今、戦略を再考する必要に迫られている。
ここまで長々と文字を連ねてなんだが、昨日の今日では今後の方向性すら見えていない(アドバイスがあれば是非伺いたい)。
今まで心配ばかりかけてきた実の家族を安心させられるキャリアをまずは優先するか、新たに認識した自身の特徴とうまく付き合いながら再度挑戦に乗り出すか。そんなことすら決まっていない。
ただ、不思議と後ろ向きな気持ちはほとんどと言ってよいほどにない。幸いにも多少の貯金と多少のお金を稼ぐ知恵と気力も残されている。