SNSを通じて知り合って数年になる年下の友人。
「彼女が自分の腋臭に気付いていない」という事実に私が気付いたきっかけは、とある俳優さんの話をしていた時に彼女の口から飛び出した言葉だった。
「Sくんって顔が濃くて汗かきっぽいし、腋臭じゃないw?」
私は仕事柄、会話を繋ぐ術は心得ているので、日常生活の中の会話の切り返しに困るケースはほとんどないのだけれど。
さすがに無言になってしまった。
その俳優さんとは何度もファンイベントで近距離で接触したことがあるけど、断じて腋臭ではない。
不自然な間の後、話題を転換してなんとかごまかしたけれど、腋臭の告知ってどうしたら正解なんだろう。
母親が悪いよね。
何故「あなたは腋臭だから注意しなさい」と言ってあげないんだろう?
SNSでオタク趣味で知り合った人なので、ジャンルが変わればすぐに疎遠になるかと思っていたけど、付き合いも数年目に入ったので、
けっこう悩んで、彼女とまったく共通点のない友達に相談したこともある。
「本人に腋臭の告知って、する?しない?」
何人かに聞いてみたけれど、皆が揃って「うーん、ちょっと言い出せないかな…」「自分が恨まれる気がするから言わない」という返答だった。
私の周りにも腋臭でも結婚している知人は何人もいるので、腋臭でもかまわない人もいる世界なんだろうけど、自分で知っていて気を付けるのと、知らないまま過ごすのとでは違う気がするし。
なにより、怖いと思っているのは、彼女自身が(局地的ではあるけれど)有名人だということ。
日頃顔出しをするわけではないし、作品が人気の作家さんなわけだから、通常は支障はないはずで。
イベントで数秒対面した程度では気付かれないとは思う。
一度、とあるイベント帰りに彼女といる時に、他のグループと遭遇して、みんなでお茶しましょうという流れになったことがある。
その後「〇〇さんって、腋臭だよね!?私、座ってすぐ気付いたよ!」と口々に言われたので、
やはり隣席ではなくても同じテーブルを囲んで30分もしたら全員気付くレベルなんだと思う。
人気作家の重大な欠点見つけたり!!という感じもあった気がする。
私と彼女の付き合いは、いわゆる「さぎょいぷ」の時間がほとんどで、リアルで会うことはほとんどなかったのだが、ここ数ヶ月、事情があって週一で対面している。
数日前に会った時も、彼女が入室して近づいてきた時点で、けっこう匂っていた。
これから夏だ。