この間、母が亡くなり、久しぶりに兄に会ったら、離婚していた。
「お嫁さんには、いい人ができたみたいで、何もいらないからと出て行ったのよ」
と言われた。
兄は、3度結婚したが、いずれも若い、10歳以上年下の相手ばかりを選んでいた。
楽な生活をしたい、金目当てな女性が寄ってくるので、何度も結婚できるのだろうと思っていた。
3人の妻は、いずれも、外車を乗り回したり、短期留学したりと、派手な生活をしたがっていたようだった。
そういう価値観のすれ違いから、愛想をつかされて、妻たちに逃げられた………と私は思っていた。
この間、3番目の前妻、元姉に会うまでは。
偶然会った元姉に近況を伝え、甥の成長を聞いているうちに、話がはずみ、聞いた離婚の理由。
このままでは、息子ともども生きていけないから。
いっしょに行けば、買い物の代金は払うが、食料品や生活必需品以外は絶対買ってくれない。
仕方なく、母と姉に預けて、朝と夜とパートを掛け持ちして働くしかなかった。
話を聞きながら、羞恥心と怒りで、目の前が真っ暗になった。
以前はこう思っていた。
元姉は、結婚してからも、子どもが産まれてからも、働くことを止めなかった。
母や姉からは
「働かなくても食べられる生活費はもらっているのに、意地になって働いている」
と聞いていて、私も子どもを母に預けてまで働く元姉を軽蔑していた。
なぜ、そこまで、金が欲しいのか。
思い返すと、その前の妻、そのまた前の妻、どちらも、
「お金がない」「お金がない」と文句ばかり言っていると、母がこぼしていた。
そう、私は、思っていた。
恥ずかしい。
「いつか変わるかと思ったが、まったく変わらないので、もう、待てないと思って家を出た」
申し訳ない、本当に申し訳ない。なにも気づいてあげられなくて、申し訳なかった。
恥ずかしさと怒りしかないのだが、母の遺産を相続するために兄には会わなければいけない。
兄からは「現金で1000万円ぐらいでいいだろ?」と打診されていた。
実家の土地建物、アパートや駐車場を考えたら、安過ぎないかと思って保留にしたが、
やはり、きっちりとって、彼女に少しでも援助した方がいいのか。
いや、断られるか。
連絡をとってもいいものか。
こんなクズの弟が。
菊川怜の夫に婚外子が4人いた、しかも、養育費もまともに払っていないというニュースを見て、
“なんてクズだ”
と怒りがこみ上げて書いた。
クズが肉親で恥ずかしい。