最近ではどんな作品でもミュージカル、舞台化するのが当たり前になってきた。どんな世界観作風でも既定路線のようにあっという間にミュージカル舞台化されて、イケメン俳優と呼ばれる人たちがキャラクターを演じる。
もはやミュージカル舞台化を喜ぶのが当たり前の世の中。好きな作品の多種多様なメディア展開にはひたすらについていく。オタクは熾烈なチケット戦争を勝ち抜き、時には害悪な転売屋から、ありえない値段で購入してまでこぞって舞台まで足を運ぶ。
うちわやペンライトを振って黄色い声援を送り、ファンサを要求する。俳優たちがツイッターでオフショットをアップすれば大興奮。各々が上げるレポにも大興奮。みんな狂喜乱舞している。
それを恐怖して見ているのがわたしだ。みんなが何を見に行っているのか、時々分からなくなる。自分の好きな作品、キャラクターを見に行っているのか、自分たちに媚びてくれるイケメン俳優を見に行っているのか、どっちなんだろうと考えてしまう。
自分の好きなキャラクターをイケメンたちが演じる=イケメンたちがオタクたちに愛想を振りまく(ファンサ)=オタクたちはファンサに喜ぶ=ファンサがもっと欲しくなる という構図が頭の中で至極勝手に出来上がるのだが、わたしの知る人たちはファンサを求める人たちばかりだった。みんなせっせとうちわを作り、公演が終われば目撃した、獲得したファンサの光景を文字にイラストにおこす。
ミュージカル舞台へ足を運ぶオタクたちが「好きな作品」を見に行っているのではなく、「イケメン俳優にファンサをもらう」ためにチケットを勝ち取りに行っているのではないかと思う。イケメン俳優の瞳に映りたいと必死なように見える。あなたたちは一体何が好きなのかと怖くなってしまう。実際にそう問えば作品が好きだと言うのかもしれないけど、わたしはそれを100パーセント信じることはできない。
オタクは許容範囲が広いほうが偉いと思ってる人が大多数(特殊な性癖でも愛せる自分、みたいなのとか)だけど、要はイケメンならなんでもいいのではと思ってしまう。しかもイケメン自ら媚びに来てくれるのだから願ったり叶ったりだろう。
イケメン俳優たちは仕事だから演技をする。ファンからの評判が良いに越したことはないので、オタクたちに更に火をつけるためファンサを怠らない。それが仕事だし、もはや二次元のミュージカル舞台の文化になりつつあるからもはや辞めるわけにはいかない。女性アイドルの握手会と同じ。辞めてしまえば顧客が離れるから辞めるのが怖い。商売としてはもはや仕方のないことだ。
ミュージカル舞台化が大好きな人たちにとってはわたしが原作至上主義の心の狭いオタクに見えるだろうけど、まさにその通りです。原作以上にメディア展開されたものを好きになり、盲信している人たちがわたしは怖いです。でもミュージカル舞台を原作以上に好きになった人に直接文句を言うつもりはありません。ひっそりさよならしますので、安心して下さい。