好きな人とやっと付き合えたと思ったのに、次の日から連絡がとれなくなった。
本当に何も言ってくれないまま、その人はいなくなってしまった。
その直前まで、いつも通りラインしてたのに。つきあうことになったのは直接会って話してだけど、その時もすごく優しかったのに。
なんでこういうことになってしまったのか、何もわからなかった。せめて答えがほしかった。
いつからこうしようと思っていたのか?どこまでが本当で、どこからが嘘だったのか?何があったのか?最初から付き合う気がなかったのか?それとも面倒になって衝動的に「ブロック」という方法をとったのか?
ラインでブロックされているか確かめる方法をネットで検索して、「ブロックされている可能性が高い」という結果になる画面を見たときは心が冷えていくのを感じた。
こんな方法をとる人間が存在するということが、信じられなかった。
たとえ「よく考えたけど、やっぱり付き合えない」という理由でも、ラインでいいから、言ってくれたらよかったんじゃないだろうか。
その人とは何度か2人で会って、一緒に出かけたりもしたけど、穏やかで聞き上手で優しくて、素敵な人だなと思った。確かに少し優柔不断な部分はあったかもしれないけど、なんというか良い意味で普通の人だった。違和感はなかったし、こんなことするような人には見えなかったのだ。
彼が突然消えてしまってから3週間近くが経つが、この3週間本当に苦しかった。
「こんなことするような人じゃない」と最初はどうしても受け入れられなかった。その一方で「最低な人」だとも思った。
いろんな友達に話して1週間くらいが経ったころ、「最低な人なのは頭ではわかるけど、それでも好き」だと思った。
戻ってきてほしかった。何かの間違いでもいいし、わざとやったのでもいいから、許すからとにかく戻ってきてほしかった。彼とはライン以外の連絡先を交換していなかったし、共通の友達もいなかったので、ラインが使えないと連絡のしようがなかったのだが、SNSのページを見つけてそこから連絡しようかどうか迷っていた私を、相談した友達みんなが止めた。「そんなことしても何にもならないし、ひどい人なんだからもう連絡しない方がいい」と。誰に話してもみんな私の味方になってくれて、私の代わりに怒ってくれて、とてもありがたかった。純粋に嬉しかった。
それでもつらかった。
普通にフッてくれるとか、せめて付き合うことにしないでいてくれれば、こんなに悩むこともなかったのに、こうなった理由が全くわからないから前を向く方法もわからなかった。私はどうしても答えが知りたくて、でも当然だが友達のうちの誰一人として正解はわからなかった。
理不尽だと思った。
私は彼をただ好きになって、大事にしたいと思っただけだったのに、こんな仕打ちはないんじゃないかと。これじゃ世の中やったもん勝ちだと思った。「理不尽」ってこういうものかと、20代も半ばになって初めて身を以て体験した。この年齢まで知らなかったことがむしろ恵まれていたのかもしれない。
今はだいぶ楽になった。意外と早く、前を向けたように思う。
私は、私が思うよりもずっと、強いのかもしれない。
もうあの頃のように好きだとは思わないけど、まだちょっとだけ「また会えたらな」と思っている。まだラインのトーク画面は消せないし、もらったものもそのままとってある。
でも彼を思い出す時間は格段に減った。かといって嫌いでもないし、憎んでもいない。ただ弱い人だったのかなと思っている。ある友達が「自分のことで精一杯だから、人が傷つくかどうかに想像が及ばないんだよ」と言った。「今頃ホッとしてるんじゃない」と言う人もいた。言ってることはわかる。だけど理解はできない。その心理が全くわからないのだ。
彼はきっと、目の前にいる私を何も見ていなかったのだ。だからこその優しさだったのかもしれない。
でも私も、彼を本当にしっかり見ていたのかと聞かれれば自信がない。自分の気持ちを押し付けすぎていたのかもしれない。どうも私は人を好きになると盲目状態になってしまうようなので、そこが不安だ。友達には言われたけど、ピンと来ていなかった。今はわかる。
理不尽を「世の中そんなもの」として生きていくのは、それも一つの正解だと思うし、アリだと思うけれど、私はそうしないことに決めた。
私は今までの自分が誰も傷つけずに生きてきたとは思ってないし、むしろそんなことは無理だと知っているけど、それでもこれからは他人に対してより誠実に接していきたいと思った。
これを学べたからといって、良い経験だなんて絶対思いたくないけど。
この増田を、彼が見ていることのないように願う。
こういうタイプって自分が甘えすぎてることにまったく気付いてない
前を向けてよかったですね。