本気の恋だったので、ふられた時のショックは今までで最も大きいものでした。
かつてない悲しみを忘れるため、ストレス解消になりそうなことを色々試しました。
しかし、どれも大して慰めにはなりませんでした。
そんな時、普段は聞かない音楽を聞こうと思いました。
私の一番のお気に入りは「Komm, susser Tod 甘き死よ、来たれ」という曲です。
元々のお気に入りとは言え、この曲には不思議と私を落ち着かせる効果がありました。
その流れで、私は久々に旧劇場版エヴァンゲリオンを見たいと思いました。
その曲が流れる所から繰り返し観ました。(正確にはシンジの心の中のブランコのシーンから)
このアニメは、シンジの持っている絶望的な考えから、徐々に希望を持つことができる考えに、シンジが至る過程をゆっくりと魅せつけてくれます。
私はしばし、自分の悲しみを忘れてアニメに集中することが出来ました。
結果、すっかりとは言えませんが、それでも悲しみのあまり混乱しまくっていた時よりは大分落ち着くことが出来ました。
ニコニコ動画の「元気になる動画」みたいなのを巡っていても癒えなかった心の痛みが、なぜエヴァンゲリオンで癒やされたのか。
それは、エヴァンゲリオンが、きちんと悲しい状態から同調して、そこから丁寧にすくい上げてくれたからだと思います。
元気になる動画は、元気で明るい雰囲気を押し付けているだけの荒療治のようなものだったのです。
もちろん、それが有効になる時はありますが、今回の私には合わなかったのです。
悲しい時は、きちんと悲しい気持ちを味わいながら、それでもゆっくりと希望を持つことが大事なのだと思います。
またTV版の最終話も観ましたが、やはり希望を持つにふさわしいメッセージを受け取れました。
「そして、真実は心の中にある」
「そして、新たなイメージがその人の心も形も変えていくわ」
「イメージが、想像する力が、自分たちの未来を、時の流れを、作り出しているもの」
「だから、見失った自分は自分の力で取り戻すのよ。たとえ、自分の言葉を失っても。他人の言葉に取り込まれても」
「自らの心で自分自身をイメージ出来れば、誰もが人の形に戻れるわ」
「心配ないわよ。全ての生命には、復元しようとする力がある。生きていこうとする心がある。生きていこうとさえ思えば、どこだって天国になるわ。だって、生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ」
「現実を悪く嫌だと捉えているのは君の心だ」
「現実を見る角度、置き換える場所。これらが少し違うだけで、心の中は大きく変わるわ」
「だが、君の真実は一つだ。狭量な世界観で作られ、自分を守るために変更された情報。歪められた真実さ」
「人一人が持てる世界観なんてちっぽけなもんや」
「晴れの日は気分よく」
「雨の日は憂鬱」
「と、教えられたら、そう思い込んでしまう」
「受け取り方一つでまるで別物になってしまう脆弱なものだ。人の中の真実とはな」
まだ心の傷が消えたわけではありません。
でも、いつか真実が変わるまで、望んでいた幸せ以外の形の幸せを望めるようになるまで、とりあえず前を向いていようと思えるようになりました。