Wikipediaからの盗用がバレたときの「秀逸な」言い訳というものが出回っている。
好評なようだけども、突っ込みどころが多いので、マジレスしておきたい。
出回っているのは、
教授「えっ」
という問答だ。
おそらく、
という状況を想定している。
ツイッターを見ていると、「この手があったか」「これは使える」「この言い訳最強じゃね」という反応が見受けられる。
どうやら、こう言ってしまえば「教授」はしぶしぶ「学生」を無罪放免にするはずだ、と思われているらしい。
Wikipedia の編集履歴にはアカウント名かIPアドレスのどちらかが残っている。
また、個々の編集でいつ、どこがどの程度変わったのかも逐一残っている。
(例:http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E8%91%97%E4%BD%9C%E7%89%A9&action=history)
これに基づいて「教授」は、「学生」がそれを書いたアカウント/IPアドレスの使用者であるかどうかを問うことができる。
アカウントだったら、「学生」はそのアカウントを持っていることを証明しないといけないし、
IPアドレスだったら、住まいに合ったIPが運良く使われていることを祈るしかない。
「アカウントのパスワードを忘れた」「昔のことだからよく覚えていない」
などと、うやむやにすることもできるが、その時点で信憑性は落ちる。
また、ひとつの項目のテキストの大半が古い版から受け継がれていることはよくある。
大部分が6年前に書かれていたりしたら、「学生」は中学生当時にそれを書いたことになってしまい、かなり無理が出てしまう。
ちなみに、一見色んなアカウントから投稿があるように見えても、主著者のアカウントを割り出すのはたいてい難しくない。
ボットや軽微な編集が大半だったりしてどんどん飛ばしてみていけばいいからだ。
さて、「学生」が抗弁した結果、「学生」が Wikipedia に書いたのだと「教授」が認めてくれたとしよう。
それでも、「教授」がレポートのその部分について改善を求めることは十分ありうる。
(とにかく5000字自分で書けば合格、みたいなのは論外としておく)
まずは記述の正確性。
マイナーな項目は、ファンや信奉者やアンチの思い込みでまみれていることが多い。
盛り上がっている項目は、編集合戦で荒れていたり、その後処置でバッサリ中身が抜けていたりする。
そういう項目では、明らかに不自然な論理や、常識と外れたことが書いてあったりする。
ソースが付いてること、ソースがまともであること、過激な表現が混ざっていないことくらいは最低限検証しておきたい。
そこまでやるなら、Wikipedia じゃなくてソースを読めといいたくなるが……
では、「学生」の運が良かったか知識があったかで、コピペした範囲に特に間違いがなかったとしよう。
それでも、良い Wikipedia 項目が良いレポートになるとは限らない。
(現実問題として、教授がそこまでレポートの質をチェックするかということは置いておく)
Wikipedia は百科事典なので、専門家向けではなく、初心者向けにどちらかと常識的なことを書いたものだ。
百科事典と同じことを書いているレポートがまともなものになるだろうか?
Wikipedia の内容は、それなりにサイズのある項目でさえ、あくまで「調べ物の手がかり」といったレベルであり、
専門書や論文で必ず触れられているような事柄を書き落としていることがある。
量があるように見えても、瑣末な事柄を書きつらねているだけだったりもする。
専門書をちょっと見れば分かるようなことが書いていなければ、そのレポートが高評価を受けることは難しいだろう。
またあまり考えずに盗用した場合、トピックは合っていても、レポートのテーマにフォーカスできていないということも起こりがちだ。
Wikipedia の項目は、よくできている項目だとしても、トピックについての色んな観点をちょっとずつつつまみ食いしてできている。
「教授」が求める論点に照らしてみれば、何をダラダラ関係ないことを書いてるんだ、と思われる可能性はある。
……ということで、Wikipedia をコピペしてレポートに貼り付けることはリスクが高いと思う。
そういうのに釣れるバカが排除されればいいんだからマジレスはやめてほしいなあ。僕頭悪いから周りが頑張っちゃうとすぐダメな子になっちゃうんだ