2023-07-12

パートナーの弟が僕の誕生日脳出血で倒れた。

 という話を、5月の26日くらいに投稿したんだけど、その後日談

 パートナーの弟(以下単に「弟」表記)は、幸い一命を取り止めた。それはいいのだが、なんと最近入院先の病院を追い出され、ヤブ医者との悪評の高い某病院に転院したところだ。

 数日前の夕飯時、パートナーが言った。

「そういえば今日、母さんと一緒に弟のお見舞いに行ってきたんだけど、」

へぇ。それにしては帰り早かったけど、仕事は早退してきたのかい?」

 弟が救急搬送からそのまま入院した大病院は、隣の隣の隣の市にある。往復だけでも二時間くらいかかるのだ。

「いや、普通に仕事終わって帰ってきて、母さんを実家から拾って行って帰ってきたよ」

 どんなマジックを使ったらそんなことが出来るのだろうか。いぶかしがる僕に、パートナーはまた言った。

「まー、●●病院からね」

「ファ!?

 ●●病院は、僕らの棲むアパートから徒歩数分の所にある。一応は総合病院で、スタッフが沢山いるにも関わらず、常に外来患者の姿は疎らだ。ヤブ医者だという悪評がひろまっているからだ。一般外来患者相手というより、偶々救急搬送されてきた怪我人や急病人、そして併設されている老人ホームの入居者を診ることで回っているような病院。ちなみにそこの老人ホーム通称「終の棲家」と呼ばれ、介護士達が入居者を虐待しているのが公然の秘密となっている。

 いったい、大病院入院していた弟が、どうしてあん病院に転院してきたのか。見舞いに通うのには遠く離れた市よりも近所の方がいいとはいえ、●●病院とはずいぶんな選択だ。

あいつ、病棟看護師さん達に悪質なセクハラやっちゃったとかで、追い出されちゃったんだよね」


 脳に損傷を受けた患者にはよくあることだが、弟は手術後に精神錯乱してしまったというか、人が変わったというか……。病前は大人しい性格で、女性に対しては自ら絡んでいかない方だったのだが、脳の損傷した場所が悪かったのか、人間らしい理性を喪ってしまい、言動抑制がきかなくなってしまった。

 入院していたのは脳外科の病棟から、そこに働いている看護師達はもちろん、そういったことは脳を傷めた患者にはよくあることだと理解しているはずで、実際研修などでちゃん教育されてきた人達なのだという。

 ところが、弟を担当した看護師達が相次いで弟の看護を続けるのを拒否し、配置替えして欲しいと訴えてきた。

 すると、そこの看護師長がかなり気の強い人で、部下を守るために強気病院側と闘った。そして遂に看護師達の要求が通り、弟はベッドにベルトで拘束され、県内病院で、家族が通える範囲内にあって、脳外病棟があってリハビリも出来る病院が探された。

 そして、全部の条件に当てはまる病院といったら偶然にも●●病院しかないということだったのだ。


 転院の理由理由だし、●●病院でも弟は冷遇されるのではないか……最悪、看護師からセクハラ報復にかこつけて虐待されるのではないかと、他人事ながら心配になってしまう。

 パートナーはショックを受けて沈んでしまっているが、彼らのお母さんはどうなのだろう。実をいうと、お母さんは他人の事より自分の面倒くささを優先するような人だから、我が子が病院でどんな目に遭わされても、替えのパジャマを届ける手間が省ける方を選びそう。

 それにしても、いくらなんでも●●病院というのは。某医大病院とか、もっと良いところではよくなかったのだろうか。

 パートナーは、あの弟が看護師全員に拒否られるほどのセクハラをしてしまたことにもショックを受けてしまっている。

普段大人しい人の方が、普段抑圧されている本性が解き放たれると凄いっていうじゃん」

「いや、脳が変われば性格も変わってしまものから。今の状態が弟くんの本性な訳じゃないか安心してよ。回復してくれば言動も元に戻ってくるらしいしさ」

「そうかなー。でも、看護師全員、担当から外してくれなきゃ辞めるとか言い出すほどのことをしちゃったんだぞ。いったい、どんだけだよそんな」

「いまどきは人手不足から病院看護師さんを大事にするし。不快なことをされたら堂々と拒否していい、被害を訴えていいって世の中でもあるよ。誰も我慢しなくてよくばなったか我慢しなくなっただけだから、それが弟くんの言ったりやったりしたことの重さとは必ずしもイコールではないと思う」

「うーん」

 この件について、僕が何か言ったところでパートナーにはなんの慰めにもならなさそうだ。

 まあ、僕は弟の介護に関わる訳じゃないから、口出しする権利もないだろうし。

 僕は、パートナー家族、弟にもお母さんにも誰にも認めて貰えていない存在なので、出来ることなんて何もない。

 

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