2022-05-14

anond:20220514111146

これは結構難しい話な気もする。

まず、ゼロ年代までの日本において、政治組織主婦層の奪い合いを行っていた。

数が多く、政治活動を行う暇があり、組織に拘束されておらず、思想的に特定の傾向がないが横のつながりはあるという、まさに格好の動員対象だったからだ。

ただし当たり前だが動員というのは上から自由政治思想を植え付けられるわけでなく、自由タイミングで動員できるわけでもない。

比較的どうでもいい案件については積極的に下から吸い上げて常に運動欲を満たし、「自分たちが動かしている、声が届いている」という実感をもたせるのが重要

そしてその餌の一つが表現規制、とくに性表現規制だった。

主婦層に共有された嫌悪感があり、社会悪だという方向に持っていきやすく、婦人会による規制運動を展開することで低コストで定期的に運動実績を満たしやすい。

要するに叩くのに丁度いいか自民公明も各種の野党も性表現規制論をだし、逆に政敵の手柄になりそうな風向きときだけそれを批判してきた。

矯風会もこのころ潜り込んでいろいろやっているが、別に思想的には主体性を発揮したわけではない。

あくま普通女性が、「素朴な感性」を運動で増幅させた結果に相乗りしただけだ。

大半の政治家にとっては「自分の票にならなければどうでもいい、だがある程度便利使いするため風向きを読んでたまにコメントする」程度の話題だった。

リベラルと呼ばれてるが中身は様々な人々にとっても大半は同じだろう。

しかし、ネット時代で性表現市場が拡大し、規制論者もオタクの声もでかくなったことで、この話題はそれなりのネタに昇格した。

ただ、山田太郎はうまくやったが、ワン・イシュー国会に1議席確保できるぐらいというのは、小さくもなく大きくもない、なかなか微妙ラインである

これも基本的には思想や強力なトップダウン利権があるわけではない。

普通オタクが「素朴な感性」を運動で増幅させた流れをうまく利用したということになる。

こういうネタ言論屋や政治プレイヤーとしては非常に扱いが難しい。

普通の人々」の「素朴な感性」というのは、たいてい思想的にはメチャクチャであり、民主主義にも自由主義にも完全に敵対している。

なんとなく思ってるだけならまだしも、運動で増幅させるとカルト原理主義と対して変わらない。

それでいてカルトと違って思想的核のない多数派から批判にも難儀する。

山田太郎統一教会と絡んだりしているが、こういう連中がオタクを「操って」いるというのはいろいろな意味で間違っている。

オタク普通言動に素直に乗っかれば自分の主張が認められる部分がありそうだから、のこのこやってきたというだけだろう。

矯風会政治に熱心な主婦層によってくるというのも、主流はあくまで強大で消し難い「素朴な感性」のほうで、矯風会なんてのは張り付いた雑菌の如き存在だ。

「素朴な感性」に公然敵対する人間は、たとえ理屈の上で正しいことを言っていても、政治レベルではあっさり抹消される。

逆に、そうなってない人間というのは、理屈以前の話で、「素朴な感性」にうまく忖度しているからこそ生き残れている。


から、問うべきは、リベラルの人々は、一般人の、あるいは自身の中の「素朴な感性」と自由主義が対立する事実にどう向き合うか?

という話だが、これに真剣に答えること自体も「素朴な感性」への敵対一種であるから政治プレイヤーとしては公然議論することは難しいだろう。

  • 表現の自由もまた人権であることを理解していないブコメが付いていたりして、悲しいものがあるよね。 むしろその不愉快な表現とされるものが、一体誰の人権を侵害しているのですか...

    • こういう表現の自由以外の人権を全く知らないし、濫用的に表現の自由という言葉を使い、表現の自由についても全く詳しくなく、誤解だらけの出鱈目で表現の自由自由言う奴が増えた...

      • よく分からないので、ブチ切れる前に分かるように説明してくれるとありがたい。 表現の自由とそれ以外の人権が対立するという案件は、決して珍しいものではないと思うが。 だが基...

        • せめて具体的に、仮に他のどの人権を侵害するといえるとしても、このような理由で表現の自由の方を優先すべきである、って接触しそうな人権全部書き出して否定したら?

          • 「他の人権を侵害するようなマターではない」っていう話だろ…

          • どちらが優先されるべきか、はそれぞれの案件次第としか言いようがないね。どんな表現でも無条件に自由が保障されるべきとか主張するバカはごく少数だろ。 ただ、表現の自由とは別...

            • 今の案件でもさ、具体例は出せたじゃん? 他の人権を侵害しない限り最大限に尊重されるべきっていう他の人権に「不快感」「平穏な心情で生活する自由」を含まないなら、侮辱罪は肯...

              • 不特定多数を漠然と対象にした侮辱罪は成立しないやろ

                • それは刑事訴訟上の便宜を図る訴訟要件の問題じゃん? 聞きたいのは、「不快感」「人格の尊厳」「平穏な心情で生活する自由」は、表現の自由より優先されるでしょ?ってこと

                  • 「侮辱罪は肯定するの?」という問いは難癖だということやで

                  • 単に不快だと相手に伝えるだけで相手に黙る義務がある、などという主張は馬鹿すぎて見てるだけで不快なので黙っててください

                  • その通りで、だからこそ 「何を平穏な心情を生活する自由を害したといえるかの認定」 をそれぞれの表現や言動について、丁寧に行うべきだと思うんだよね。

              • それらの 「不快感」「人格の尊厳」「平穏な心情で生活する自由」 が表現の自由を制限するに当たるのかは、案件次第、表現次第だよね。 「不快感」「人格の尊厳(の侵害)」「平穏な...

                • つまり事案認定が必要だけど、「不快感」「人格の尊厳」「平穏な心情で生活する自由」が基本的には人権たりうる可能性があるってことは認識してるでOK?

                  • 「基本的に人権である」って「消防署の方から来た人である」みたいな表現だな

                  • 含まれうるという意味では、もちろんそうだよ。 不快感や「平穏に〜」はとかは微妙だけど、逃げられない場所における表現物による不快感なんかは人権侵害に当たるんじゃないかな。 ...

                    • >>不快感や「平穏に〜」はとかは微妙だけど、逃げられない場所における表現物による不快感なんかは人権侵害に当たるんじゃないかな。 微妙じゃないし、逃げられない場所ではなく...

  • (o´・ω・`o)「こんなんで脳内をいっぱいにして日々を過ごしている人らって、どうやって生活してんのやろね…」ビンボー,ビンボー♪の節回しで、陰謀、陰謀と唄ってあげたい

  • 「素朴な感性」ってフレーズ、ちょっと前にホッテントリになったゴールデンカムイの読者についての増田で、「まあなんつーか常識的な正義感の強い人が多いこと」と読者について非...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん