2023-12-06

統計データ警察だよ

統計データ警察だよ

件の増田を養護する気もないけど、下記のエントリー引用されてるデータの使われ方が若干微妙かな~と思ったので書くよ。

  

ゲームを趣味にしている人の割合が多いのはどのくらいの収入の人たちなのか調べてみたid:noname774300

  

定義等の確認

まず、こういう社会科学系の統計データを扱う際には、質問内容(調査方法)と数値の定義をしっかり確認しようね。

  

注目すべき箇所

上記エントリーでは「ゲーム趣味にしている人の割合」を調べようとしてるね。

問題はここのデータに出てくる「行動者率」というものがどういう数値なのかってことだね。

数値の定義に関するドキュメント10ページ目に「行動者率」の分子部分にあたる「行動者数」に関連する記載があるので引用するよ。

  

過去1年間(令和2年10月20日~3年10月19日)に該当する種類の活動を行った人の数

  

過去1年の間に活動を行った人ということだけど、ここで「行動者」のすぐ上にある「頻度」の項目や質問用紙の5ページ目を見てみよう。

一番活動頻度が低い人は「年に1~4日」だということがわかるね。

まり、極論を言ってしまえば、年に1日でもゲームやれば「行動者数」にカウントされるってことだね。

ここまで書けば察しが付くと思うのだけど、年1~4日しか活動してない人を「ゲーム趣味の人」と定義するのは適当なんだろうか?

  

じゃあ、どのデータをみるのが適切そうなのか。

正直に言えば、年収属性クロスしたデータが見つからなかったので、あくまで参考になりそうなレベルで列挙するね。

(より適切なデータを見落としてたのならごめんね)

  

→頻度別の行動者数がわかるよ。例えばこのデータをみると、行動者のうちの70%以上が週1日以上の頻度でゲームしていることがわかるね。

→平均何日行動しているのかがわかるよ。年収別ではあまり偏りはなさそうだね。(分布にもよるから断言はできないけど)

  

データから何となく読み取れること

上記の2つのデータから「どの年収階級でもそれなりの日数ゲームをやっている人がまあまあの人数でいそうだね」ということがわかるよ。

あくまでもピンポイントデータがないから、ここまでしか言えないよ。

締めとして、こういう社会科学系のデータを見るとき、「趣味」みたいな概念をどう定義するかでデータ見方も現れ方も全然変わってくるから、注意したほうが良いと思うんだ。

今回扱ったデータなら、何日以上ゲームをやる人を「ゲーム趣味の人」と定義するかで、解釈は変わる可能性があるよね。

更に突っ込んだことを書くと、こういう日数で行動を把握する調査方法だと、例えば通勤時間仕事の休憩時間だけ暇だからスマホ時間つぶしにゲームをやるだけの人も「週に何日もゲームをやる人」に入ってしまうよね。中にはポイ活とかが目当てでゲームをやってるだけの人もいるかもだよね。

まりあなた趣味に当てはまるものを以下の選択肢から選んでください」という設問で得られるデータとは、回答傾向が違ってくる可能性が高いんじゃないかなとも推察されるよ。

  

調査方法定義計算方法などの違いで同じようなデータでも数値が大きく変わることはざらにあるから、各種仕様に関するドキュメントはしっかり確認してからデータを見ようね。

でも、言及エントリー執筆者さんは、ちゃんデータに当たろうという姿勢だけで素晴らしいことだと思うよ。

間違いがあればみんなで指摘してブラッシュアップしてけば良いだけだしね。以上だよ。

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