最近イーロン・マスクがTwitterを買わされてその従業員を大量に解雇しているニュースが話題になり
その影響を受けてかインターネット上では自分が気に食わない企業やサービスに対して「~~の社員もイーロン・マスクが解雇してくれたら良いのに」という言動をする方を見かけるようになりました
それに伴って、「Twitterの元社員は使えない奴ばかりだった」「今残ってる奴は有能」という根拠の無い言動も目立ちます
私はこれを見て、解雇が一般的ではない日本では「解雇」に対して夢を見すぎている幼稚な人々が多いのだなと感じます
これは解雇が一般的なアメリカでもそうですが、解雇は有能は残り無能だけが出ていく様な銀の弾丸では無く、寧ろその逆の事が起きる事が往々にしてあり、更には会社の評価や信頼性を間違いなく低下させる行動でもあります
決してイーロン・マスクを脳死で支持している方々が思うような勧悪懲悪的な行為ではありません
にも関わらず「解雇さえすれば、有能だけが残ってくれる、解雇された人間は無能に違いない」という幻想を違和感無く信じ、またそれを他の会社に対しても望んでしまう人々が日本にはこれだけ多いのです
更には、彼らの中には「イーロン・マスクがやるのだから問題ない」「イーロン・マスクが間違えるはずがない」というような、権威主義的パーソナリティと呼ばれる頭の悪い人だけが到達する思想に染まっている人々も存在します
まさに解雇が当たり前でなく、権力構造が硬直しがちな日本的な価値観と言っても良いでしょう
近年では他の先進国と比べて解雇規制が厳しい日本でもその緩和についての議論が活発に行われています
この議論の終着点がどこになるかは兎も角、もし今の日本でもアメリカの様な解雇が可能になったとしたら
「解雇は正しい事だ!」という誤った認識によって不必要かつ過剰な解雇が大量に行われ
そしてアメリカとは異なり解雇された方々に対して異常な偏見を持つ人々によって、根拠なき誹謗中傷や、再就職とその支援に対する悪影響がある事は想像に難くありません
その時には今日本でイーロン・マスクを絶賛している人々のほぼ全員が、マルティン・ニーメラーの言葉通りの結末を迎える事になるとも確信しております
権力を盲信し、労働者に対するリスペクトが無い日本の様な社会では、企業に「より自由な解雇権」というカードを配る事は非常に危険な事なのです