申し込み開始の朝にパソコンの前に貼り付いて重い画面をリロードし続けた甲斐もあって、27日の朝一番で摂取の予約ができた。
高血圧とか肥満とか、コロナになったら重症化リスクが高いと思っていたから、すんなりと打ってくれると言われたときは安心した。
テレビに踊らされて、コロナになったほうがよほどリスクが高いというのに小さな副反応を気にしていた。
どうせそんなことだろうと、本人の話は半分くらいにして、ところでワクチンを打っても感染は減らないらしいという話をした。
要するに自分はリスクを背負いたくないから打ちたくないだけで、他人が打ち終わればコロナが消えて元通りになると思っていたのだ。
無症状のままウィルスを持ち歩き、自分は症状がでないままに人にうつすようになる。
だから、突然自分だけ発症して、誰にもらったかもわからないままに重症化する危険性がある。
そんな話をしたら割とあっさりと観念してくれた。
母親は孫に会いたいという。しかし、小学生の子どもたちはいつ無症状感染していてもおかしくない。
毒ガス感知の小鳥のように、自分がセンサー代わりになるしか気づく方法はないのだ。
幸いながら今の所、発熱などの症状が出た試しはないが、それでも学校の先生や通っている塾の講師が陽性だったという話は絶えず聞こえてくる状況だ。
それでもしつこく連れてこいというのだから、最後は自分の選んだ死に様だと連れて行くようにはしていたが、その心配もようやく終わることができる。
わかっているよ。それでも連れて行かないのが子どもの責任なのだということは。
しかし母がいうには、孫に会えないならば死んだも同然だと、目をうるませながら本気のトーンで詰めてくるのだ。
それで死なれでもすれば寝覚めが悪くなることはわかりきっているが、それでも死に方くらいは選ばしてやりたいという気持ちが勝ったのだ。
これも早い段階で、何をしようと人に会わないのが一番の対策だと口を酸っぱく言い続けてきたからだ。