誰かとの出会いを運命的な出会いだとか、電流が走っただとか、劇的に表現して、人々はそれに陶酔してそれを信じ込もうとすれけれど、実際にはほんの些細な行き違いが、あまりに劇的な違いをもたらしているという不条理を信じたくないだけだと思う。
中目黒の春の桜が君の瞳の中に舞っていた。
婚活パーティーで意気投合したぼく達は早速翌週ぐらいにデートの約束を入れた。
正直、顔が好みじゃないし、歳が行き過ぎてたきみは、あのパーティの三番候補だったけど、きみはぼくを一番に選んでくれて、カップリングしたんだ。
初デートはそれなりに盛り上がり、ぼくたちは夜景のきれいなところでキスまでした。
それはティーンエイジャーのするような軽いキスじゃなく、明らかにセックスに繋がる過程と言い切れる艶めかしく、長時間にわたるディープなものだった。ぼくもきみの体を撫で回したし、きみもぼくのアソコを軽く愛撫したね。
気持ちの盛り上がったぼくはきみの家に行くか、ぼくの家に来るかの提案をしたけど、きみは急展開過ぎることを警戒してか、帰ってしまったね。
そのあとぼくはまた君に会うつもりだったけど、他の恋愛にならないと思ってた顔見知りとの関係が急に進展することがあって、連絡を取るのを止めてしまった。
うまくやればその状況でもきみとセックスだけして捨てるような道もあったんだろうけど、そんな面倒なことをできる器量も度胸もぼくにはなかった。
あのときもしセックスまでいっていたら、ぼくはきみとの関係を重視しただろう。そのあと別の女性とそういうことがあったからよくわかる。ぼくは自分が思ってた以上にウェットな人間だった。
「あなたに恋に落ちてしまいました。すぐに忘れられないとおもいます。わたしが次へ行くためにせめて、わたしの何が悪かったかだけでも教えてください」
ぼくはそれに返信できなかった。
まさか「セックスさせてくれなかったから」と書く訳にもいかないし、かといって、ここに書いたことを説明するわけにもいかない。
本当に些細な行き違いが、劇的に人生の展開を変えたのだと思う。
あの時きみとセックスしてたら、その後のすべてのストーリーは美しく彩られたと思う。きみを思いだしても興奮することはないけど、あの時の興奮は本当だった。
しかし、後悔しても仕方ないのだ。ぼくたちはひとつの選択しかできないのだから。
あれから数年が経ちすでに家庭を持っているけど、Spotifyが唐突にきみが好きだったバンドの曲を流して、あの時のことを思い出したので、こうして形に残すことにした。
あの時きみとセックスしてたら、 最終的に刺されそう
あの時きみとセックスしてたら、その後のすべてのストーリーは美しく彩られたと思う。きみを思いだしても興奮することはないけど、あの時の興奮は本当だった。 セックスできなく...