上司がとても競争を煽るタイプの人で、彼自身が中堅大学から東大・京大卒をごぼう抜きしてトップに立った人だった。
その結果として、社員同士が仲良く昼ご飯を食べたり、雑談をしていたら、
「お前らはすぐ群れる。そういうところが精神的に弱いんだ。独立した人間は群れる必要がない。本当にトップの人間は孤独なんだ。孤独に耐える精神を身に着けろ」
と言い放ち、みんな昼食は各自デスクでボソボソと食べていたり、雑談はプライベートなLINEでやり取りをするようになった。
そのひとつ前の部署は、上司が典型的なほがらかおじさんで、優秀なんだけど、出世をあまり気にしておらず、
土日はばっちり休むし、「お前らも休みの日は仕事するなよ。有給はすきなタイミングで勝手にとれよ」と言ってくれたし、
昼飯は一緒に食べに行こうと部下を誘うし(もちろん無理矢理ではなく、行きたい人だけ)
その上司が単身赴任だったので、一人で夕飯を食べるのが嫌だったのか、よく飲みにも誘われた。
その部署から、花形の部署に異動となり、上記の孤独を強要する上司の下についたんだけど、
同じ会社で部署が異なるとこんなに雰囲気が異なるのかと唖然となった。
その上司はカリスマ的なところがあり、その厳しい雰囲気でも、付いていく部下はそこそこいて、
付いていけなくなった自分たちは彼らのことを信者と呼んでいたけれど、
そんな嫌味を言う程度では耐えられなくなり、多くの人が転職した。自分もだ。
いま冷静に考えれば、「トップの人間は孤独なんだ」は事実ではあるけど、
それはトップの人間は周りに相談することができても、最終的に一人で決断しなくてはいけない、であるとか
トップの人間は部下をマネジメントしたり、悩みの相談に乗ることはできても、
自分は自分自身でマネジメントし、悩みも自分で飲み込む必要がある、という意味であって、
間違っても、みんなで昼食をとらないとか、雑談をしないとかそういうことじゃないはずだよな。
当時は自分も少し洗脳されていたのか、そんなことすら気付かなかった。
周りが仲良くしているのを見るのが嫌だっただけなんだろうなと思う。