去年か一昨年か。日本ではどういう評判かわからないが、外国のネット(ネットに外国もくそもある?)ではTinderについて「相手が本当にフリーか確かめようがない」「お酒を飲んだだけでアル中扱いされた」「修正がエグいという意味ではなく、写真の人と違う人が来た」など怖い話ばかり流れてくるので、おそろしい所というイメージを持っていた。だが先輩ユーザーから操作画面を見せてもらいながら「ヘテロが同性だけを探すこともできる」と聞いて興味がわき、アカウントを作成した。
どれだけのファイルがアクティブというか、本物かは判別できなかったが、実際、趣味仲間探し、同性限定、飲み友募集など恋愛以外の目的がプロフィールに書いてあることも少なくなかった。そのうち同性で年齢も近いアジア人旅行者とマッチし、先方は旅行中で時間が自由だから適当に待ち合わせをして、無事一緒に食事をすることができた。楽しかった。調子に乗ってその後も飲み友達を探そうとしたが、なにせ皆さん仕事をしている。それぞれに終業時間・先約・勤務地・自宅・経路といった都合がある。私にもある。私の希望するエリアに私の希望する時間に来れる方は簡単に見つからなかった。だったら1人で出かけて話し相手をその場で調達するほうが早いと。この現地調達というのが不確実で、他に適当なお客がいなかったり、目当ての店員さんがお休みだったり、顔見知りがいても私の知らない人と一緒に来てたり(集団苦手)、価値観が違いすぎる人に当たってしまって寂しい思いをすることも多い。だから最初から話し相手を確保してから出かけるのも良さそうと思ってティンダーをやってみたが、結局待ち合わせに至るまでが難しく、元の現地調達に戻ったというわけだ。
メッセージ交換が面倒というのは噂に聞いていたため、私は手っ取り早く「何曜日の何時から何時くらいまでどこ駅かどこ駅で飲みませんか」とやっていた。時間と場所は絶対に譲らない姿勢だ。「今週はだめだけど次週以降」という人はキープ、「違う曜日がいい」とか言い出す人はブロックしていた。そんな中私の誘いに応じてくれた彼女のおかげで、自分にとってTinderは『観光客と飲みに行って楽しかったアプリ』と化した。それこそ別人が来たみたいな痛い目にあう前にやめてよかったと思っている。