それに頼るだけでは、戦いに幅がなくなると考えていた。
俺が新たなるステップに移行するためには、別の何かが必要だと思っていた。
そんなとき、俺は道中の村で運良く曰くつきの武具を見つける。
なぜ見つけたかは説明しにくいが、「武具が俺に使えと囁いた」としか表現しようがない。
或いは、このイベントも神とやらの予定表に書かれていたものだったのかもしれない。
何はともあれ、俺は『とにかくすごいってことだけは伝わる設定の武具』を手に入れた。
今でもお世話になっている装備だな。
エンチャントとかが絶妙な配合バランスになっていて、上手く扱えば一方的なバトル展開が予想される。
その上手い扱い方は、俺の生まれ持った才能と現世で培われた教養を持ってすればヒラメく。
これで鬼に金棒。
ここでいう『鬼』とは俺のことで、『金棒』はこの武具のことだ。
俺だけにしか価値が分からない特別な代物だが、イミテーションなら君たちの世界でも最寄のトイ・アザースでそれぞれ売っているぜ。
この日はこれだけでも印象深いが、他にも色んなことがあった。
後に仲間となる、エルフ族のウロナと邂逅。
実質ライバル的な存在となる因縁の相手であり、四天王の一人でもあるイノウの登場。
イノウ「ガン・バルカンは子供の玩具じゃない。大人ですら安易に使えない先進的な業物だということを忘れるな。それを気軽に使える俺は、つまりヤバい奴であるということだ」
その他にも第1話で俺が生活していた町が焼き討ちにあったり、リ・イチの国が魔族との戦争の香りを漂わせたり、あとウロナの村も焼き討ちにあったり、てんやわんや。
俺のジャストコーズによって何とか被害を最小限に食い止めることができたものの、四天王に対する言い表せない嫌悪感は日々増すばかりの第3話だった。
第4話では、仲間の一人であるイセカが登場する。
四天王の一人によって故郷が焼き討ちにあった、悲しい過去を持つ男だ。
イセカ「我が持つチョウナ・ブーメランは両親の形見。そして、奴らを倒す大義名分だ!」
この時に、今のパーティが完成したのだが、お世辞にも良い関係ではなかった。
その時点での俺たちは、利害が一致しているに過ぎなかったからだ。
彼らは頼りになる実力者だが、頼りにしなければいけないほど俺は切羽詰っていなかった。
むしろ、俺が頼りにされることのほうが多かった気もする。
正直なところ、仲間がいなくても俺なら何とかなっていただろう。
だからこそ有事の際には信頼ができたし、絆を深めることだけに注力できた。
5話では俺がリ・イチを助けて信頼を得て。
6話では俺がイセカを助けて信頼を得た。
こうして徐々にではあるが、俺たちのパーティは本当の意味で完成に近づいていったのだ。
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≪ 前 冒険を経て、俺は成長していった。 第7話と第8話における俺の活躍は、その集大成ともいえた。 ウロナ「ヴェノラ、どうやら問題が発生したようです」 ヴェノラ「じゃあAをBに...