2016-08-09

微妙問題を雑に扱うな

創作物」の「影響」なんつーとても扱いの微妙問題を、雑に扱おうとするから反発がでる。まず定義しろ。「影響」ってのはどういう意味だ?

ある作品を1000人が見て、1000人が同じように行動を変えたら、それはまあ確実に「ある影響を与えている」と言えるよな。

では増田は、「たった一人が行動を変えた」ケースでも、同じように「影響を与えている」と言うのか。その場合、999人は「影響を与えられなかった」のか?

たとえば「殺人」を描いた作品を見て、1人が殺人をした。999人は殺人しなかった。この場合、なぜ前者だけが「影響」なんだ? 後者は「影響」じゃないのか? それってものすごく恣意的な関連付けじゃないのか? 増田が取り上げてるのは、そういうレアケースじゃないか

それから増田は「殺人を犯した人間作品からヒントを得て」ということも、「影響」の中に入れてる。これってどういう意味で「影響」なんだ?

簡単爆弾の生成方法を書いた本を読んで爆弾製造してテロを起こした人間が「本から影響を受けた」とは言わないよな。もちろん、そういう本が一般規制されることはないではない。だがそれは「影響を与えるから」ではなくて、一般に公開すべきでない情報を公開しているか規制されるんだよな。完全犯罪方法を描いたミステリーからヒントを得る、というのもそれと同様で、たとえば警察捜査内容などについて外部に出すべきでない情報を書いて参考になるような本なら規制されても仕方ないと思うが、それは「影響」とはふつう言わない。それとも増田は、別に誰を殺したいとも思っていない人がそういう本をたまたま読んでふっと人を殺したくなるだろうという話をしているのか? それって上の話と同じだが、何千分の一、何万分の一の話なんだ?

ある人が、一冊の本に大きな「影響を与えられた」と感じること、そういう読書体験もちろんあるだろう。それは、「私」を主語としたごく「個人的な」体験として、「影響された」という言い方では語りうる。ごく私的体験としてならな。だが、「ある本」を主語として(すなわち一般論として)、それが人に「影響を与える」という言い方をするなら、ぐっと慎重にならなくてはいけない。一般論としての「ある本の影響」は、みんなが言うようにその本への「規制」に直結する問題で、それを証明するためにはそれこそ1000人中の何人が有意に影響を受けたかとかをていねいに立証する責任が出てくることだ。ましてやあるジャンル全体について言うなら、なおさら。そういう手続き無視した表現規制派は、ほんと世の中にあふれていて、だいたい増田と同じようにい安易に「影響」という言葉使用する。だからみんな、こういう話の流れになるとヒートアップするんだ。

というわけで、増田煽りでなく真面目に「影響」ということを論じたいのなら、もう少し丁寧に用語定義してから話をするべきだ。

http://anond.hatelabo.jp/20160809133351

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