まとめの状況とは多少違うが小学生のとき親の転勤で海外暮らしをしたことがある。
いつ帰国するかわからない状況で渡航し、現地の学校に入れさせられた。
親は教育熱心で幼少期からアルファベットや簡単な英会話を教えられていた。
そのため現地校の授業における言語のハードルは数ヶ月のうちに無くなった。
しかし初の海外でのカルチャーショックは大きく、他人と壁をつくることが多かった。
自分の本を読み終えると親の本棚から何冊か取って読み漁っていた。
小学生レベルの授業には問題なくついていけても思考はできないと感じていた。
そのような状況で母語を忘れてしまえば自分のアイデンティティを失うんじゃないかと思った。
時間があればひたすら日本語の本を読んだ。しかしそれは次第に英語学習の妨げになっていった。
テストの成績が伸び悩むようになり、親はそれを読書のせいだと考えたようだった。
それでも唯一自分のアイデンティティを日本に繋いでくれるものを切り離せるわけがなかった。
親に隠れて本を読むようになった。夜寝たふりをして布団の中で読み続けた。
自分は日本人として日本語が出来なくてはいけないと暗示をかけ続けた。
数年後、無事日本に帰れることになった。帰国枠で受験に合格した。
完全に帰国子女の雰囲気だった。話をしてみると、自分と同じ程度の英語能力はあったが日本語は下手だった。
彼は日本人のアイデンティティを持っていならがも2つの言語を混ぜなければ自己表現できなかった。
受験で出会った帰国子女は彼のようなケースが多かった。日本語も英語も完全ではない。
日常会話は出来ていても思考を文章化することができない。学校の成績も英語以外は悪い。
もしあのとき自分が読書を諦めていたら同じようになっていたはずだ。
https://www.youtube.com/watch?v=GJVxPAiB7as