2015-01-23

奇妙な「ごはん会」

高校同級生にA子という知人がいる。

彼女は常に明るくにこにこしているような人で、女子特有の妙な派閥にもとらわれず誰とでも愛想よく接する人だった。スポーツ勉強も出来て、それでいて嫌味がない。就職自分の周りの友人はなんとなく彼女と疎遠になっていたようだが、私はオタク趣味という共通点もあり、向こうから連絡が来る形で年に1、2回会う程度の関係が続いていた。

A子は、私とはとっくに付き合いのなくなったような同級生らを集めて毎年「ごはん会」をしているらしく、その度に皆に誘いの連絡が来ていたものの、自分の周りの友人が断固として行きたがらなかったのでなんとなくそれに合わせ毎回断っていた。はじめは恐らく同席するであろう同級生限定的に言えば元ギャルグループ)に会いたくないのではと思っていたが、たまたま二人きりで会った時友人のひとりが「A子と会いたくない」と漏らした。

私には、A子のどこが友人らと合わないのか全く分からなかった。いつも屈託のない笑顔で誰とでも接する彼女に好かれる理由はあっても嫌われる理由は無いと思っていた。

しばらくして、彼女から自分結婚式ウェルカムボードを描いて欲しいと依頼された。仕事で絵を描く事はあってもお祝いとして送るものだったので料金を取るつもりはなかったが、祝儀を少し減らしてもいいだろうかと思っていたら彼女から祝儀は◯万円以上貰わないと元が取れない」と何度も言われ、仕方なくその金額を包んだ。

それから数年して、例の「ごはん会」に担任が来るという話を聞き、参加してみることにした。当時彼女臨月で、大きなお腹をすっぽり包んだ可愛らしいワンピースで現れたのを覚えている。しかし私の期待とは裏腹に、そこに高校時の思い出を語り合うような友人はおらず、そもそも女性がA子と自分以外いなかった。同じ高校出らしい十数人の男性彼女を取り囲むようにしてお酒を飲んでいたのだ。

彼らは全員未婚で、働かず実家で暮らす者、漫画の話を延々とする者、一度も女性と付き合ったことがない者…が酔いに任せて溜め込んだストレスコンプレックス吐露していた。それに学生の時から変わらない屈託のない笑顔で応じるA子。驚いたのはあんなに誘われたにもかかわらず、A子は目の前に座る私には一瞥もくれない。それどころか私に話しかけようとする男性に割って入って会話を中断し、結果私はうつむいて食事を取ることに専念させられた。

結局「ごはん会」の件が妙に後を引き、引っ越しにをきっかけになんとなく疎遠になるよう仕向けた。その後携帯メルアドも変わったが、それでも毎年実家に届くA子から年賀状に添えられた「連絡先教えてー!」という言葉に妙な気味悪さは禁じ得なかった。

仕事メールひとつひとつ流し見ていたら、送信者の欄にA子の名前を見つけた。しかし私は彼女に社名はもちろん転職したことも言ってない。企業サイトにも自分本名は公開されていなかった。どうやって見つけたんだろう、いや、どうしてここまでして探されてるんだろう。


タイトル:ねえ私だよ!私、私ー!!

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