夏の終わりのある日、僕は、職場で親しくなった女の子をデートに誘った。
喫茶店のあと、映画を見る、というなんのヒネリもないプランを提案した。
当日。待ち合わせ場所で僕は緊張して待っていた。
彼女を見つけた時、初めて見る彼女の私服に、一瞬ボーッとしてしまったが、今日はちゃんと彼女をエスコートしなければ!と思い直し、気を引き締めた。
気のせいかもしれないが、彼女も若干緊張しているように見えた。
でも、喫茶店での会話は思いのほか弾んだ。
僕たちは色んな話をした。お互いの友達のこと、仕事のこと、好きな食べ物のこと、行きたい旅行先…
会話は途切れることなく、時間はあっという間に過ぎて、喫茶店を出た時にはあたりはすっかり暗くなっていた。
外に出ると、少し肌寒く感じた。
「寒い?」と聞くと、
「もし僕がここで、何も言わずに自分の上着を脱いで、着せてあげたら、男としてかっこいいんだろうねw」
(僕はその日、上はポロシャツ一枚だった)
「え?ゴメン?なにか悪いこと言った?」と聞くと、
「怖い…冗談でもそんなこと言わないで」と返した。
その後の映画は散々で、帰り道で交わす会話は先程までの空気とはうってかわって、ぎこちないものとなった。
別れ際に彼女は、「今日は楽しかった。今度また誘ってね」といってくれた。
でもその”今度”が来ることはなかった。
後日その日のことについて、改めて謝り、デートに誘ってみたが、いろいろ理由をつけて断られた。
誓って言う。
僕は彼女と親しくなりたかっただけだ。彼女を傷つけるつもりなんてなかった。
でもダメだった。
「恋愛初心者には仕方ない、あるあるw 」と男友達が慰めてくれたが、彼女にとってはそんなのは関係ない、ことはわかっている。
ぜんぶ僕が悪いのだ。
「この度はおめでとう。あと、あのときはゴメン」とふたたび謝った。
なるべく重くならないようにしたつもりだったが、彼女はキョトン、として、
「そんな細かいコト、女はいちいち覚えてないよw」そう言っていた。
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トラバ書いてたある増田が、「男も好きで性欲があるわけじゃない」と言っています。
女の人に怖がる気持ちがあるのはわかるし、実際に傷つける事があるのもわかります。
一言だけ言わせてください。
僕らも、あなたたちを傷つけるつもりはないんです。