2013-06-05

母親」というモンスターになる恐怖

もうすぐ出産予定日を迎える。

妊娠は予定外の出来事だったが、思えばあっという間のことだった。

実は妊娠が分かった時には父親が末期のガンで、私を含めた家族てんやわんやだった。

年末に父が亡くなって、その後は葬式法事の出来事しか覚えていない。

それらがやっと落ち着いた頃に、別の問題が浮上した。

里帰り出産に向けてちょくちょく実家に帰っていたのだが、

母親と居るとひどく疲れる。気を使ってぐったりしてしてしまう。

とにかく、口を開けば亡くなった父への愚痴や批判ばかりで辟易していた。

まだ精神的に不安定だから聞き役に徹していたが流石にストレスが溜まる。

よくよく思い出してみれば、私と母親は良い関係ではなかった。

父親はワーカホリックで家に不在がち、母親は過干渉と放任の両極端。

典型的機能不全家族で育った。

きちんとした診断は受けていないけど、多分私はACだったと思う。

私には三つ下に妹がいるのだが、彼女母親の愛玩用として。

私は完全に母親サンドバック状態で育ってきた。

俗にいう、毒になる母親ってやつでした。息苦しかった。

18になったら絶対に家を出てやる、それだけを心の糧にして実行した。

そうして、10年近く経ってお互い適度な距離を持つことで良好な関係になれたような気がしていた。

だが、それは私の一方的な思い過ごしだった。

私は、10年の間に大学に進学したり、就職したり、結婚したり、

人間的に成長する機会に恵まれ、少しは成長できたと思う。

だが、母の性格や中身は一向に変わっていなかった。

私のこれまでの10年と母のこれまでの10年では年月は同じでも、

そこで体験したことや経験値、密度が丸で違っていた。

そこで意識齟齬というか、ギャップが生じた。

生意気なことを言わせてもらえば、私はとうの昔に母親を「越えて」しまっていたのだ。

会う度に、ネガティブ感情の受け皿にされることに不満を覚えた。

これが、通常の心身状態だったらまた違っていたかもしれないが、

仮にも自分の娘が妊娠しているのに、呪いのような言葉をぶつけるだけ

ぶつけてくる母親の神経に参ってしまった。

少しでも、自分の思い通りの言動に私が対応しないと途端に機嫌が悪くなる母。

そんな母親対応に怯えて、いつも疲れきっていた父と私。時々妹。

あの頃は、子どもだった。とにかく母親が怖かった。

この「女王様」の機嫌を損ねれば、何をされるか分からない。

そういう恐怖に囚われていた感覚が次第に蘇ってきた。

だが、もう私は昔のような子どもではない。

結婚して家庭を持ち、子どもも産まれようとしている。

もう、母親の顔色を見てご機嫌取りのようにしなくても良いはずだ。

そのことに気付いた時、憑き物が落ちたようにボロボロと涙が出た。

私にとって、今や母はモンスターだ。

もうこれ以上、人間的に成長する機会があるわけでもない。

夫も居なくなり子どもも自立した家で一人で孤独をこじらせている。

そうなった原因を、そこに至る過程を、決して自分の行動を振り返らないで

他者に要因ばかり見つけようとしている、自己愛に塗れた怪物だ。

これから先も、このモンスターに私の人生は支配されてしまうのか。

私も、これから母親のようなモンスターになる可能性はある。

愛情という名の鎖で子どもを縛って、がんじがらめにする。

自分の思い通りになった時だけ褒め、それ以外は見向きもしない。

都合が悪くなれば、「私のせいじゃない」と匙をなげる。

そういう姿しか見ていない私は、真っ当な母親になれるのか。

今は、それが怖くて怖くてたまらない。

子どもにとって、母親というのは神様でもなるし怪物にもなり得る。

残念ながら、私の母親神様では無かった。

世の中の大半の普通女性は、「自分のお母さんのようになりたい。」

というのだろうけれど、私は絶対になりたくない。絶対に。

時々、旦那に私の怒っている様は、私の母親とそっくりだと言われ、

背筋が凍りついたようにぞっとする。

私はもう、モンスターになりかけているのかもしれない。

普通の、どこにでもいるような、優しい母親になりたい。

  • ぐだぐだとこんな事書いてる時点で100%母親そっくりの人間になりますねあなた。 さっさと離婚して子供は旦那に任せた方が子供の為じゃないっすか? …と言うと発狂するんだろうな...

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