学校の研究室で部品の自動加工機を使っているとき、留年生であるクラスメイトが話をふってきた。
「そうそう」
「どうやばいんですか」
クラスメイトはちょっとテンションを上げながら解説をはじめた。
「なんかさ、中国のサイト?らしくて、ヤバい動画が落ちてるんだよ」
「へー」
「お前ら、エロの話か」
「お前らは知らんかもしれないけどな、エロは・・・もっと尊いものだったんだ」
先生はいつもこんな感じだ。芝居がかった口調で、ちょっと説教臭い話をしてくる。
「知ってますよ。中学校の頃苦労して画像とか動画とか探してましたもん」
「そうか」
クラスメイトの分の加工が終わってクラスメイトが帰っていく。僕と先生は話を続けた。
「最近はTumblrっていうおしゃれサービス使ってれば、無限にエロが流れてくるんですよ。完全に受身形で。」
「それはいかんな」
「えっ。どうしてですか。楽じゃないですか。」
「人間がエロを求める力がインターネットを成長させてきたんじゃないか。それすら怠惰になってしまったら、未来はないぞ。」
先生の年齢はよくわからないけど、たぶん50歳近くで、今も昔もマイコンとかコンピューターオタクなのだ。言葉にさらに力がかかる。
「しばらく前までは、エロでいろんなトラップを踏むことでネットのリテラシーを学ぶものだと思ってたが、最近は変わってしまったのか?」
「どうなんすかね。まぁ最近はエロエロでおしゃれなWebサービスがたくさん出てきて、簡単にエロが見つけられますけども。」
「はぁ、そうですか・・・ただ、常に新しいエロが流れてくるので、ローカルに保存したりブックマークしたりする必要がなくなったし、お母さんにエロサイト見てるのを見つかって叱られるっていう体験が減って世界が平和になったと思うんですよ。だからいいことでもあるんじゃないですかね。エロは一期一会って言いますし。」
「それに、ネットのリテラシーなんてあってないようなものじゃないですか。」
「そうか?最近は特にひどいと思うけどな。アプリのレビューとか、Twitterとか。」
「ああ、確かに。」
「それにさ、リテラシーの問題もあるけども、それ以上に、人間がエロに満足してしまったらこれから先インターネットを発展させていけるのか、と心配なんだよ。おじさんは。」
そんな壮大な問題があったのか。すごいなエロは。
「まぁ、なんとかなるっすよ。意識高い人がなんとかしてくれますよ。」
「本当にそうなんだろうか・・・」
「ネットの未来なんて、ザッカーバーグに任せとけばいいんですよ。あいつはきっとドエロなんで大丈夫っす。」
考えた所でどうせ答えが出るものではないし。僕達にはネットの未来なんて変えられない。
僕はただ、いつもどおりエロが見られれば、それでいい。
かつてエロはインターネットを救っていた - 研究室の先生と話していたこと。 http://anond.hatelabo.jp/20130116002354 エロはかつてコミュニケーションツールでもありました。 アダルトビデオ...
飲み会でやたらとシモネタ振ってご満悦なタイプ?