2012-08-17

絶対王政共和制しか体験したことない国民に、立憲君主制の知恵は理解できない

韓国大統領の発言が波紋を呼んでいる。

日本感覚では

天皇政治的発言を要求するのは無理筋」となるが、

韓国国民から見れば、どうなのか?

日本伝統的に

天皇権威を司り、政治的実権は将軍なり首相なりが握る」という

権威権力分離」が伝統的であり、それゆえに

権威を司る天皇に、過度に政治的マターにタッチさせてはいけない」の論理が働く。

権威を護るための知恵」である

しかし、「権威権力の分離」、或いは「立憲君主制」は、アジア的には少数派である

ヨーロッパは永年の争いの上で、立憲君主制国家のみが王室を維持できているが、

ドイツでは絶対王権戦争を指揮し、その結果ウィルヘルム2世は退位に追い込まれた。

ロシアに至っては、退位どころか処刑である

比較政治タッチしていなかったイタリア王室ですら、退位を余儀なくされた。

フランスは言うまでもない。

結局、立憲君主制がうまく行ったのは、イギリス北欧程度でしかなく、

ヨーロッパ的にも少数派である

アジアを眺めても、比較的「立憲君主的」と見なされているタイ王室も、

結構王室政治に関与している。

立憲君主的だったネパール王室親政に転じた結果、逆に王室廃止に追い込まれた。

アラブ諸国絶対王政ぶりは言うまでもない。

ということで、立憲君主制比較的うまく行っているのは

日本イギリス程度であり、全世界的には「君主制は失敗しやすい」というのが

コモンセンスではないか

で、韓国朝鮮半島を見てみると、歴史的には

立憲君主政体」を経験せず、「絶対王政」と「共和制しか経験していない。

そういう国民が、「立憲君主制を肌感覚で理解する」ことは、至難の技だ。

国民感覚として「なぜ君主政治的に責任を取らないのか?責任を取れないのか?」と

感じても、不思議ではない。

日本学生韓国学生に「なぜ日本には天皇がいるのに首相もいるのか?」と聞かれ、

返答に窮した、というエピソードがあるらしい。

民主主義君主制は両立できる」と考える韓国人の方が少数派で、

君主制というからには、相当程度、政治的権能を有していないと不自然」と考える韓国人の方が、

多数派ではないか

また、韓国で「権威」と「権力」が未分化なのは、元大統領処遇を見てもわかる。

日本なら「元首相」は権力は少なくても、「権威」として遇されるが、

韓国では元大統領は「権力」も「権威」もない。だから末路は悲惨である

ということで、

韓国人による天皇侮辱は許せない」とヒートアップする前に、

一歩引いて

「まずどうやって韓国の人たちに天皇制立憲君主制を理解させられるのか?」を

考えた方がいい。

立憲君主制は、日本的には「常識」でも、韓国的には「異形の政治形態である

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