2021-12-01

バイト日記

 女子フリーターアルバイトさんを狙うストーカーが再出現。先々週辺りの事らしいが、女子フリーターアルバイトさんが品出しをしている最中に接近してきて、気がつくと真横ちょう至近距離でガン見されていたのだそうだ。

「きも! きもきもきもきもきもっ! それはきもい奴だ! 酷い目にあったね」

 他人に対して「きも」とはなんだって我ながら思うのだが、ストーカー迷惑行為被害報告に対しては、そのリアクションが最適なんだなあと思う。被害者としては、自分の受けた被害を重く見ているのは自分だけで、報告するとか悪いことなんじゃないかと内心ビクビクしながら報告してくる。ので、被害者の気持ちを迅速に代弁する言葉を発することは大事だ。ああよかった、第三者から見ても私は気持ち悪いことをされているんだ、私の感覚おかしい訳じゃないんだと、被害者に思ってもらうのだ。

 女子フリーターアルバイトさんがストーカー被害に遭った話は前々から人づてに聞いていたのだけど、昨日初めて具体的な内容を彼女の口から聞いた。事はバレンタインデーに突然プレゼントと連絡先を押し付けられたこから始まった。彼女無視して連絡をしないでいたところ、ストーカーは頻繁に来店し、彼女執拗にガン見してくるようになったという。それで、店の皆で結託して、ストーカーが来店したら彼女事務所に匿って顔さえ見せないようにしたのだ。それを続けた結果、まんまとストーカー彼女が辞めたと誤認させる事に成功ストーカー必要最低限しか来店しなくなった、ということ。

 ていうか、ストーカーって全く相手とのコミュニケーションが成立していないにも関わらずに一方的に高いもの贈りつけて拒否られて逆上っていうの、よくやるよなぁ。私にもストーカーしてくる客がいるんだけれど、やはり唐突に糞高価な食パン1斤880円とか押し付けてきた。

 ストーカーへの対応について、女子フリーターアルバイトさんと武闘派シフトリーダーとで一時揉めていた。シフトリーダーは「ハッキリ『断る』って言えばいいじゃない!」と言って女子フリーターアルバイトさんを無理矢理レジ接客させよとした。女子フリーターアルバイトさんはどうしても報復が怖いと言ってフロアに出ることさえ嫌がった。結局、オーナー無用トラブルを避ける主義から、無闇にストーカーを刺激することはないよねといって、ストーカーが来たら女子フリーターアルバイトさんを事務所に隠すことで合意が取れた模様。

 シフトリーダーは、

「私がアパレルバイト中にナンパ男の集団に絡まれた時は、自力で応戦して撃退したのに!」

 なんて言ってたけど、それって運良くナンパ集団が本当にただのナンパ男だっただけの話だ。マジでヤベェ奴らだと、仕事上がりまで待ち伏せして拐うじゃん。過去武勇伝若い後輩にごり押しするのはやめて欲しい。後輩は己の自己肯定感をヨシヨシするための道具ではないので。

 私自ストーカー被害に遭い、女子フリーターアルバイトさんまでストーカー被害に遭っている、ということでストーカー対策に関する本を読んでみたけど、奴らは薬物やアルコール依存症患者とあまりかわらない。依存対象が薬物ではなく「コンビニ店員の誰々さん」なだけだ。依存症患者の目の前に薬物や酒を置いといて摂取するな依存を辞めろと言っても大方無理なように、ストーカーの目に付く所に被害者を居させては悪化するばかりで良くはならないのだと思った。

 ストーカー行為被害者や第三者咎めることは、却ってストーカーの執着心を煽ることになり、また怨恨を懐かせ報復行為を働かせる危険もあるようだ。

 したがって、ストーカー被害者はストーカーから身を隠すというのが、やはり最適な対策なのではないかと思う。

 だが理不尽ではある。悪いのはストーカーなのに、被害者や現場人達ばかりに負担がかかる。ストーカーはずっとストーカーのままだ。現場疲弊すると被害者を追い出せば解決するのでは? なんて言い出す人もいずれ出てくるだろう。そうなれば職場人間関係が一気に悪くなり、働きづらくなる。

 当店のオーナーは、従業員ストーカー被害に遭うこととストーカーから従業員を守る為に対策することは、雇用者が抱える当然のリスク従業員が悪いのではない)と認識しているらしいので、我々従業員はその点では安心して働ける。

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