2017-01-14

エンジニアに気を遣いすぎじゃない?

エンジニアの、特にリーダークラスマネージャーまでもが

「そんな業務じゃモチベーションが上がりませんよ」

とか、

「それって必要ですかね」

とか、

「その手の"作業"じゃメンバーが腐っちゃいますよ」

なんて平気で言うんだけど、これって言い換えると、

『そんなのオレらの仕事じゃねーわ』

と言っているのに等しい。

私は元はエンジニアなので、よくもまぁ堂々とこんなことが言えるなと思うし、

業界全体がエンジニアというものはこういう人種であると受け入れ、彼らのモチベーションいかに損なわず

仕事をさせるか、ということは一丸となって取り組むべき課題であるかのように論じられることが不思議でならない。

こうした"課題"は往々にして、システムを内製する企業が抱えるものだと思われる。

受託企業なら請け負った仕事が何のためのものなのかをそれほど気にはしないだろうし、

請け負った仕事をこなすことが自分たち利益になることは明白だから内容そのものには恐らく文句は言わないだろう。

私が初めて勤めた会社がまさに下請けというより孫請け、玄孫請けといった位置付けの業務だったが、

当時の感覚からしてもそうだ。

ではこの原因はエンジニア自身業務企業利益に結びついているように思えないことであって、

それをしっかり共有できていない経営者事業責任者プロデューサー、あるいはディレクターなどに問題があるのだろうか。

私はそうは考えていない。なぜなら『オレらの仕事じゃねーわ』の意味技術的に高度で、チャレンジングで、

市場価値が高いスキルを要するものをやりたいという個人的欲求であって、企業利益には沿っていない。

しろそういう先進的な技術学習コストも掛かるし、容易に引き継ぐこともできない。

既存システムリプレイス必要になればそのコストも掛かる。そうした人種いくら企業目的利益を説いたところで

オレの知ったことじゃないという考え方だろうから、彼らの評価者でない人間はただ彼らに頭を下げ、持ち上げ、

その気になってもらうしかない。

一方でエンジニア自身作業を命じるのが彼らの上司評価者であればどうだろうか。

恐らく、「オレの仕事じゃないッスね、お断りです」という意味のことを言うのには

それ相応のリスク覚悟するだろう。"オレの仕事じゃない"かどうかをわかっているはずの人が命じているのだから

「いや、これがお前の仕事だよ」と言われるかも知れないし、普通に評価への悪影響を懸念して了承するだろう。

まり意識の高いエンジニアに相応しい仕事を用意できない非エンジニア問題ではなく、

単純にエンジニア部門マネージメント問題であるしか言えない。

そう考えると、そのマネージャークラス人間自身が「そんな作業じゃ・・・」などと述べるのはお門違いだろう。

依頼する非エンジニアだって文句ばっかり言うヤツにやっと仕事をしてもらってもバグだらけ、というような思いを何度もしているなら

できればこっちも頼みたくないと思っているはずだ。

エンジニア部門マネージメントはやはりエンジニア出身者がやることになることが多いと思うが、

そもそもこのレイヤー人間の育成や必要スキルなどを論じることが先決ではないだろうか。

個々のエンジニアの心情を慮って組織体制をいじったり、企業方針をそちらに寄せたりすることより、

全体から見ればごく少数であるエンジニア部門マネージメント層をどうにかした方が効果的だろうし、

しろそこが企業に沿わない限り、他をどう変えてみたところで末端のエンジニアには浸透しないだろう。

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