2012-06-28

私が夢小説文化を受け入れられない理由

夢小説、というものをご存知だろうか。

主にネットで発表されるものであり、基本的には普通小説の体をしているのだが、特徴として「主人公名称が変換できる」というものがある。

正確に言えばできないものもあるのだが、まあそこは置いておく。

そしてもう一つの特徴として、圧倒的に二次創作物が多く、ほとんとの場合キャラクター(もしくは芸能人)と主人公恋愛が描かれているということも挙げられる。

分かりやすく言えば、「オリジナルキャラクター既存キャラクターとの恋愛」、著しくは「自分キャラクターとの恋愛」を楽しむ小説形態というわけだ。


タイトルは若干誤解を与えそうな表現をしてしまった。私は夢小説の中でも後者、「自分キャラクターとの恋愛」が受け入れられないだけである

まり自己投影ができないのだ。

私がこの問題にあたったのは、自分が今一番楽しんでいるジャンル夢小説文化が盛んで、同ジャンルを好んでいるTwitterフォロワー夢小説、または夢的な話題を持ち出すことがわりかし多く、それを見るたびに微妙な心地になる自身がいることを感じていたかである

自己投影をあまりしなくてもよい、オリジナル性の強い主人公と作品のキャラ恋愛模様を見るのは結構楽しい主人公はたいてい、作中にはいないようなタイプキャラなので、それを作品世界に放り込むことにより、相手のキャラやその世界を普段とは別な側面で見ることができるからだ。

ところが主人公≒読者自身だと私の場合そうはいかない。これについて少しばかり理由を考察してみた。


まず私の好きなキャラクターの傾向にも問題があると思われる。

これについては完全に個人的な嗜好で申し訳ないが、私は所謂精神を病んだキャラが好きだ。

真摯感情を相手に向け、とき狂気に陥るようなあれだ。

要するに、作中で既に好意を向けている相手がいるキャラクターが好きなわけである

カプ厨的思想かもしれないが、好きな相手とだけ付き合っていてほしいのだ。

次に、私が萌え豚思考の持ち主であるということが挙げられる。

まりキャラに対する感情が「萌え」というより「ブヒ」に近いのだ。

これは一般人には理解し難い思想かもしれないが、「萌え」は純粋に「かわいい」「かっこいい」「ときめく」「どきどきする」など、疑似恋愛的な要素が強い。世間一般にも「かわいい」というような意味で広まっているような語だ。「ときめく」からか、対人間相手ではない「工場萌え」という単語もあるくらいだ。

ブヒ」はちょっと説明が難しい。

萌え」が恋愛に近いのに対し、「ブヒ」は対象のキャラクターが壮絶に自身の持っている魅力を示したとき(「あざとい」「狙った」行動をしたとき)視聴者、読者は完全に製作者に「狙われて」いるのを自覚しつつもその魅力に圧倒され、愛情を抑えきれなくなったときに「ブヒる」のだ。

即ち、「ブヒ」にはい意味でも悪い意味でもキャラクターに不自然さ、あざとさが生じる。(それが魅力でもあるのだが)

向こう側から「狙ってきて」くると、自然こちらからキャラクターへ向ける愛情もやましいものになってくる。

性欲を伴ってきてしまうのだ。

夢小説を楽しんでいる人々(夢見乙女というらしい)はおそらく、対象に「萌え」ているのだろう。

私は対象に「ブヒ」っているため、自分のものキャラクター恋愛関係に及ぶのに抵抗があるのだ。

なんせ、キャラクター恋人ではなく、オナペットとして見ているのに近いのだから恋愛対象として見れるわけもないのだ。

最後は単純に、自身が作品世界に行けたとしても、キャラクター恋愛関係が築けるような人物にはなれないという諦観からだ。

自身に魅力がないことを自分でわかっていると、妄想でもそういうことを考えることができないのだ。


夢見乙女達はきっと、純粋キャラクターのことを愛し、自分キャラクターに愛されたいと思っているのだろう。

散々否定的なことを述べてしまったが、彼女ら(彼ら)を見ているぶんにはほのぼのするので、これからも夢を見続けてくれればと思う。

ただ、同じキャラクターのことが好きな人に対して嫉妬したり、嫌悪したりするのは仕方ないのかもしれないが、正直に

言ってしまうと、見ていてあまり気持ちのいいものではない。

まあ、これからも私は作品の外で楽しみ続けるので、作品の内側で楽しむのは夢見乙女達に任せようと思う。

  • かつて萌えがその根底にブヒを孕んでいながらそれに対して全く無自覚だったころ世代の人間としては 萌えとブヒを分かつものとしてのその分類は斬新、目ウロコ

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    • おれ男だけど、おれもキャラクターと自分の恋愛って想像するの無理だなー。 大体キャラクターって、人間じゃないからね、普通に。身体もないしさ。   おれもジタンとガーネットと...

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