VTuberやVオタを揶揄する定型文に、「絵じゃん」という表現がある。
2chのアニメ漫画エロゲ系のスレで、二次元オタク同士の内輪自虐ネタというか、キモオタ同士がお互いのキモさをバカにしあってキャッキャふざけるようなやつだったと記憶している。
だがそれがなんやかんやあってほぼ廃れ、今ではVTuberとそのファンへの揶揄として流行った。
いや、Vに対する揶揄としても既に陳腐化して、真面目にこれを言っている方がダサく、なんならV側も逆手にとって「絵の立場で言わせてもらいますが」なんてネタにしたりもする状態なので、もはやガチに傷ついたり反論したりするようなものではない。
だが、VTuberに対する「絵じゃん」という言葉が、字面上のVTuberが絵であることを馬鹿にする表現ではなく、実際はVTuberが絵ではないことを馬鹿にしているであろうことは興味深い。
たとえばエロゲやソシャゲのキャラに対しての「絵じゃん」であれば、フィクションの存在に入れ込みすぎるのは虚しいというニュアンスが読み取れる。
だがVTuberはそうではない。
VTuberへの「絵じゃん」は、Vは明確に中の人がいる生主崩れだというのを前提としており、そういうやつらが美化した二次元ガワをかぶり、拙いアイドルごっこをして、それに過剰にキャーキャー言われているという構図を嫌悪しているのだ。
絵じゃん、と言葉で、絵を被ってるけど生身じゃん、という揶揄をしているのだ。
キラキラしたモノや三次元世界から疎外されて二次元フィクションに耽溺したタイプのオタクは、しばしばキラキラアイドルや(ごく一部の仲間と思える相手を除いた)三次元人間への嫌悪を持つ。
最近は三次元へのルサンチマン持ちが多少は減ったかもしれないが、それでもオタクはこのような「三次元世界に適応できる一般人に対するトラウマと、それが反転した敵意」を持ちがちである。
そしてVTuberに対する「絵じゃん」は、言葉上は「絵じゃん」と言いつつも、その実は、「絵は被ってるけど肉があるリアル人間じゃん。アイドルごっこするリアル人間とか醜悪だし、Vオタって、リアル人間をアイドルししてるそこらの一般人と同じで、馬鹿じゃん」という揶揄になっている。
面白い。