うちの課には3年目の社員がいる。2020年度入社なのでコロナ代直撃世代だ。
新人研修なんてなかったようなものだ。一般社員でも戸惑うリモートの日々に新人が混乱しないわけがなかった。いや、混乱することさえ出来なかっただろう。
やがてコロナの最初の混乱期がおさまり出社するようなった。新人は既に呪物の片鱗を見せていた。電話を取れない、メモを取らない、能動的に相談できない。まあここまでは要領の少し悪い新人程度に思ってたし、彼の自己責任と片付けるのは酷な話だ。これからの指導で十分修正可能と思っていた。
しかし彼はどうやらリモート中に香ばしいビジネス本を読み漁ったらしい。生半可な知識を内部ミーティングで披露して、微妙な空気にさせたりするのはまあご愛嬌として、優しいとされてるお客から出禁扱いを受けたりしてた。上司の指導を素直に受けてくれれば良いのだが、持ち前のプライドが高さのせいで全く耳を貸さない。
上司としても強く出たいところだろうが、昨今のパワハラ撲滅を警戒して「指導がパワハラ扱いされたら、やってられない」という雰囲気が漂うためやがて誰もが指導を放棄してしまった。
彼は本来営業職のはずなのだが、任せられる仕事がない。本当に誰でもできるバインダーやコピーぐらいしかさせることがなくなってしまった。たまに雑誌やネットから情報を拾ってきて「いま◯◯が熱いんですよ!」といったものを朝会やチャットで披露して返ってこないリアクションを待っている。
今年の4月に彼の二個下に新人が入ってきた。これがまた優秀で素直で可愛げがある。しかも、みんなコロナ下での仕事に慣れた後なので、新人への訓練は丁寧に行われた。3年目も加わったら良いのに、プライドが邪魔して「自分は大丈夫です!」と逃げてしまう。
新人はおそらく後数ヶ月で3年目を完全に追い越すだろう。そのとき特級呪物が完成するのだ。この呪物を野に放つのか、我々が責任持って飼っていくのか、まだ誰も答えを持っていない。
windows2000にしよう
なんか分かる。その3年目の子も可愛がってもらおうと彼なりのやり方で頑張っているのだ。