2022-05-28

ヤングケアラーが親を捨てた話

ヤングケアラー」という言葉世間に広く浸透してきている。小学生高校生という自己人格形成にとって大切な時期に、病気障害もつ親の世話をすることを余儀なくされている子どもたちのことを指す言葉だ。

私もそのうちの1人だった。

母親躁鬱病(双極性障害)を発症したのは私が10歳頃のことだった。

最初父親離婚し、新しい父親との間に妹が生まれてすぐのことだった。

小学校から帰ってきたら、生まれて間もない妹の面倒を毎日見ていた。友達と遊ぶことはほとんどできなくなった。家にいる間暇だったので勉強に明け暮れた。家にある本は全部読んだ。ほとんどが医学看護の本だったけど、娯楽には十分だった。

中学に入り、家にいる時間が少なくなった。この頃から母親の病状が悪化した。土曜日学校があったから毎月の母親の通院について行けなくなった。

母親リストカットをしているの見たり、首吊りを試みているのを見たり、無理心中されそうになった。私が必死に「ママ死なないで」といえば、母親は涙を流し次第に落ち着きを取り戻す。そんなやりとりを何度もした。

高校に入り、将来のことを真剣に考えた。限界だった。幼い妹の負担にならないよう、父親仕事邪魔にならないよう、母親の世話はほとんど1人でやっていた。このままでは自分は一生この家を離れられないと思った。

から、家を出た。全部どうでもいいと思った。

家を出て半年後、母親は首をコンセントで吊って自殺した。父親から電話で聞いた。

葬式には母方の親族と私しかいなかった。

今でも母親が死んだのは私のせいだと思う。

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