オンライン授業で、児童生徒はタブレットで黒板の中継を視聴した=さいたま市で2021年10月28日午後3時39分、山越峰一郎撮影
新型コロナウイルス流行の深刻化を受け、埼玉県内の一部の小中学校でオンライン授業の導入が進んでいる。学習活動を止めないための対応が必要だが、オンライン授業の環境や体制は地域間で格差があるのが実情だ。保護者からは「第6波なのにまだ同じように授業が止まり、自宅でプリントだけの学習となっているのはおかしい」との不満が漏れる。【鷲頭彰子】
さいたま市内の小中学校は3学期開始前、オンライン授業の大規模な接続テストを実施した。教員が校内で、児童生徒が自宅でそれぞれ一斉に接続しても問題なくつながることを確認した。「第5波」に見舞われた2学期の開始直後、対面とオンラインの授業を併用する「ハイブリッド授業」を実施したが、「つながらない」「教材を開けない」などのトラブルが多発したためだ。
ただ、さいたま市教委は「これ以上負荷をかけるとどうなるかは未知」と言う。1校あたりの回線を増やすことも検討しているが、導入時期は未定という。3日現在で小学校56校の179学級、中学校17校56学級が学級閉鎖となっており、市教委は「学級閉鎖となっているクラスはオンライン授業をしている」としている。
教員と児童生徒間のやり取りや児童生徒同士が討論できるなど県内でもオンライン授業の環境整備が進んでいるとされる久喜市。市教委は今週から感染不安でオンライン授業を受けても出席とする「選択登校制」を市内の全小中学校(33校)で取り入れた。当初は「出席停止・忌引等」として扱っていたが、感染拡大を受け、オンライン授業への参加や学習内容の定着が確認できれば市独自の措置として「出席」扱いとする。
市内のある中学校では、合唱や調理実習など感染リスクの高い学習活動を行わないことや、授業時間を短縮し全学年5時間授業とすること、感染不安でオンライン授業に参加した場合も「出席」とすることを保護者に周知した。市教委は「今までは対面授業を基本としていたが、今週からは積極的にオンライン授業を選択できるようにした」と話す。
さいたま市や久喜市の取り組みとは異なり、オンライン授業の導入が進まない自治体もある。県東部の自治体は2月から児童生徒を半分に分け、それぞれが午前と午後に登校する分散登校を始める。オンラインで授業を生配信できるように各学校を支援しているというが、ある保護者は「一昨年の第1波の時に各家庭のパソコン(PC)からWi-Fiで接続しただけ。学級閉鎖になったが、PCも持ち帰らず、課題プリントを配布されただけだ」と話す。
県中央の自治体の小学校の保護者も「第5波の時にPCが配布され、接続して、会話の時にオン、オフにする程度は練習したが、実用はほぼしてなかった。学級閉鎖になったら授業できるのか不安だ」と話す。別の保護者は「近隣の自治体でオンライン授業ができているようなことを聞くと、なぜうちはできないのかと思う」とこぼした。