2022-02-06

欧米寿命を受け入れているからこそ病床が回る?

(よそ様の意見を、自分の意見を整理するきっかけとして活用させてもらう増田です)

[B! COVID-19] 東京都 新型コロナ 2万1122人感染確認 過去2番目の多さ | NHKニュース

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20220205/k10013468381000.html

莫大なリソースをさいて寿命がきた老人さえ延命する日本だから病床が逼迫し、欧米は寿命を受け入れているからこそ病床が回るというの皮肉だな。老人を守りながら若者、子供、経済をズタズタにしていくんだろう

日本のステレオタイプと絡めた解釈はシンプルでわかりやすいので、もっともだと感じるのは無理のないことだと思います。また、コロナと関係なしに日本の社会的問題として捉えることには意義があるとも思います。

しかし、下記のような別の視点もあるということは、知っておいて損はないでしょう。

アメリカは回せてない

あなた「いや、いまは回せていても、日本はこれから回らなくなるのだろう。そうなればやはり、老人を守ろうとする弊害だと言える」
わたし「アメリカ並みに回らなくなる事態は、ギリギリ回避できるんじゃないかと期待しています。ところで、あなたは緊縮策に反対で、若者、子供、経済を優先させたいのですよね」
あなた「そうだ」
わたし「経済を優先させると、ギリギリ回避できるものも、できなくなっちゃうんじゃないですか」
あなた「だからそう言っている。日本はこれから回らなくなるのだろう」
わたし「日本が回らなくなるのは、老人を優先させるせいじゃないんですか」
あなた「えーと?」
わたし「たぶんあなたにとっていちばん望ましいのは、若者、子供、経済を優先させても、寿命を受け入れることによって病床は逼迫しない、強くて元気な日本なのでは?」
あなた「そう、そう」
わたし「寿命を受け入れても逼迫しちゃってるアメリカは、もっと寿命を受け入れれば病床に余裕が生まれますか」

とまあ、これは戯れの問答ですが、論理に矛盾がないか考えるきっかけになれば幸いです。実は、個別の意見にはわたしも賛成で、

  • 老人の延命については、少なくともバランスの上で対極に若者、子供、経済がいることがもっと想定されるべき
2月6日 22:45 追記: 
デルタ時に比べて、ワクチンの普及や治療薬の進歩、オミクロンの登場を経たことで、少なくとも天秤が固定されたままのはずはないだろうという意図です。相手の言葉を借りているせいで「老人の延命」という不穏な表現になっていますが、決して極論したいわけではありません。
  • 緊縮策は、いまさら打っても病床逼迫のピークを緩める効果は薄い(もっと早期に短期間打っておくのが最善だった)

と考えています。

欧米は3回目接種を済ませている

ワクチン接種などやれることをやった上で、オミクロンの感染力の強さから「感染すること自体からは守り切れない(感染力の強さを打ち消すほどの緊縮策は長期間続けられない)」とするならば、病床の限度を超えないゆるやかさで感染を許容する政策はありうると思います。

日本について言えば、オミクロンのBA.1系統に対してはもう間に合っていないので、幸いBA.2がまだ国内で蔓延していないうちに3回目の接種を進めて、そこから先は一斉に全員感染しないためのピーク制御だけに留めるのが現実的かなと思っています。

(新たな変異株の脅威を減らすには、一国だけでは限界があるので、国際的な共通認識が必要だと思うのですが、残念ながら難しいでしょう)

2月6日 22:20 追記: 3回目接種の意味について誤解があるようなので補足します。
そもそも3回目の接種を進める意味は、入院や重症化、死亡を防ぐのが主目的と考えています。なにより、明記しておけばよかったですが、オミクロン以降の感染対策は「あいにく、感染力が強すぎて全員級の感染が避け難いので、あとは短期間に一斉に感染するのではなく、医療が崩壊しないようにピークを低くするだけ」と考えています。なので、特に感染に対する効果は期待していません。やれるだけのことをやっておく、と言うだけです。
なお、ワクチン効果と感染の拡大は、行動抑制やマスク着用率、感染による自然免疫(未接種者が自然免疫を獲得していると、接種者との本来の格差がやわらいでしまう)などとの合わせ技であることに注意が必要です。

前提知識まとめ

日付 人口 BA.1系統 BA.2系統
アメリカ ~1月30日3億3248万人2283万人(6.9%) 9万人( 0.0%)
イギリス ~2月05日  6722万人 613万人(9.1%)16万人( 0.2%)
デンマーク~1月30日   586万人  49万人(8.4%)60万人(10.2%)
日本 ~2月05日1億2544万人 145万人(1.2%)  ?
(東京都) ~2月05日  1396万人  28万人(2.0%)  ?

※ 全体の感染者数と変異株ごとの比率から求めた累計。

  • イギリスは、年末年始のピークから半減したあとは、停滞期に入っています。行動制限の撤廃によって上向く恐れもありますし、BA.2はいまも前週比2倍程度で伸び続けています。
  • デンマークは、ピークは過ぎた可能性がありますが、これから下り坂でも感染者は増えていきますし、行動制限の撤廃によって(覚悟の上でしょうが)それが長引く恐れがあります。現時点で国民の2割、下り坂も含めると3-4割に達する可能性は十分あると言えます。
  • 日本は、検査の飽和が報道されていますから本来はもっと多く、まだピークに至っていないことからも下り坂を含めて少なくとも累計で2-4倍の感染者数は覚悟しなければならないでしょう。
  • 従来株時の日本の調査(https://www.igakuken.or.jp/topics/2021/1113.html)で、無症状で気付かなかったり風邪とみなして検査もしなかった感染者は、検査して発表された感染者の4倍いたと報告されています。アメリカのデルタ時までの推計(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/burden.html)でも、やはり4倍とされています。さらに、全員が検査されている日本の空港検疫でも、1月以降のオミクロンの感染者のうち80%が(少なくとも発表時点で)無症状となっています。
  • オミクロンに限らずコロナは無症状がとても多いので、あなた自身が感染しても気付かない可能性の方が高いです。あなた自身にとってはよいことですが、知らないうちに誰かに感染させてしまうという意味ではよくないことです。いっぽう、たとえば東京都の検査で発表されている感染者数は、1月以降ほとんどが症状ありで、無症状はわずか8-9%程度しかいません。検査できているのはごく一部だということです。



  • 別に「寿命を受け入れている」わけじゃなくて単に医療費が高すぎて大多数の人間にはとても払えないからやむを得ず死んでいってるだけでしょ。

  • (同じ性質の集団ではないものの)全例調査@空港だと陽性者に占める無症候率が80%(有症候者の4倍無症候者が検出されている)  →10人症状のある人がいれば50人陽性 東京都の検査...

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