1passwordのパスワードを忘れた。1000を超えるアカウント達の全ての入り口というか門番を司らせていたパスワードを忘れた。命の次に大事なものだったけど結構複雑にしたが絶対に忘れることはないだろうと思っていたけどそのパスワードを忘れてしまった。おれは1つのパスワードを複数サイトで使いまわさないようにしている。アカウント作成時に毎回ランダムな文字列を生成することにしている。以前パスワードを思い出せないときに自分ならこういう感じで決めているだろうと予測して突破を試みてunlockできてしまったときのうわぁといった気まずさというか、過去の自分が決めたパスワード生成ロジックの安直さというか、そういった自分のリテラシーの低さを受け入れることができないのだ。もちろんおれのアカウントに不正ログインしようとしたファンがおれの思考パターンを推測して安直なパスワードでunlockできたことでおれ自身の間抜けさにガッカリすることがないように、という配慮もある。ちなみにパスワードをペーストできないサイトが世の中に一定数存在するがそれはパスワードは覚えておく必要があるものでかつお前のパスワードはどうせ手打ちが困難なものでないんだろうという前提がサイト制作側にあるように思えてとても舐められていると感じる。そういうときは開発者ツールで直接valueに突っ込むし絶対にパスワードは手打ちしない。なんか細かいやつだと思われているかもしれないがパスワードはブラウザにガンガン保存する。情報とは漏れるものだし漏れてもすぐ止血できればいい。
さて付き合いの長かったこの世でおれしか知らないパスワードを忘れてしまったときは途方に暮れていたが、逆におれが忘れてしまったことでおれのパスワードは真のパスワードというか完全体へと昇華したのではないかと感じはじめた。だってパスワードというものは誰にも知られてはいけないものなはずだからだ。今までありがとう、最後にちゃんとお礼言いたかったけど思い出せなくてすまん。
いやさっきは完全体とか言ったけど誰からも忘れ去られてしまうというのは完全なる死かもしれない。君たちパスワードは完全なる死をもって完成されるのか。非常に難儀な運命だな。あと幾ばくかの時間をおれのセッションという空間で生きてくれればと思う。