米国議会が韓国政府による対北ビラ禁止法に対する聴聞会の開催を予告する中、青瓦台(韓国大統領府)と韓国政府はこれを阻止するための総力戦に突入した。青瓦台は24日に関係機関の担当者を招集し、徐勲(ソ・フン)安保室長主催でこの問題への対応を検討する最初の会議を開催した。「必要ならメールででも会議を行う方針」だという。ある韓国政府筋は28日「こちらの立場を米国に納得させるためにあらゆる手段を動員する」と説明した。人権と民主主義を核心的な価値とする「バイデン時代」の発足と同時に、韓国が「人権、表現の自由侵害国」の烙印を押される最悪の状況だけは避けたいということだ。
対北ビラ法聴聞会は米議会内超党派の「トム・ラントス委員会」が推進している。この委員会で共同委員長を務める米議会下院のクリス・スミス議員は対北ビラ禁止法について「最も残忍な共産政権で苦痛を受ける住民のために民主主義を増進し、支援する行為を犯罪化した」として同法を強く批判している。委員会は近く実務者らが集まり、法案の詳しい内容についての検討など事前の作業を開始し、早ければ来年1月中には聴聞会を開催するという。聴聞会には前職・現職の国務省関係者、北朝鮮人権団体の関係者、専門家グループなどが証人として出席し、ビラ禁止法はもちろん、北朝鮮の人権問題に関する韓国政府の対応についても包括的に検討される可能性が高い。
現時点の予想通りであれば、聴聞会の時期は1月20日のバイデン大統領就任とほぼ同じ時期となる。バイデン政権が予告している「世界の民主主義引き締め」の最初のケースとして韓国が取り上げられるということだ。ある外交筋は「生涯を世界の人権向上のため献身したラントス元議員の功労を称えて立ち上げられたのがラントス委員会だ」「このような委員会において、自分たちを『民主的政権』と主張する文在寅(ムン・ジェイン)政権が人権侵害で追及を受けるなどあってはならない大恥であり悪夢だ」と指摘した。ここ最近、ラントス委員会の人権聴聞会で取り上げられた国はナイジェリア、中国、ハイチ、ホンジュラスなどだ。対北ビラ禁止法聴聞会が開催されれば、韓国はこれらの国々と同じような扱いを受けることになる。