FANTASTICAというレーベルがある。
作品数ベースではダントツトップのグラビアVRレーベルである。
これまで500本近い作品を世に送り出している。
ところがFANTASTICAの作品はマアー、モデルと目が合わない。
どこ見てんだよ、こっち見ろよ、っていう感じの作品ばかりである。
対面していてもモデルの視線は左右にふらふら泳いで、バッチリ目が合うということがない。
かわいいビキニの女の子が目の前にいてふたりきりなのに、俺のことを見てくれないのである。
特売300円のアダルトVRのAV嬢とはちゃんと目が合うのに、2,000円もするグラビアVRのモデルと目が合わない。
そんな理不尽があるか。
こんなの原因は単純で、「モデルが片方のレンズを見てしまっている」のである。
VRカメラにはレンズが左右ふたつ(かそれ以上)あって、モデルがどちらか片方のレンズを注視するともう片方からは視線がはずれる。
その映像をVRゴーグルで見ると、こめかみのあたりを見られているような感じになる。
人間の脳は片目だけ視線が交差していても目が合っているとは感じないらしいのだ。
では、ちゃんと目が合っている映像を撮るにはどうすればよいか?
ちゃんと目が合っている(と感じる)作品を再生しながら片方ずつ目をつぶってみればよい。
右目で見ている像も左目で見ている像も、実はどちらもモデルとは目が合っておらず、モデルの目線はいずれも少し内側(鼻寄り)を見ている。
ところがこれを両目で見るとあら不思議、ドンピシャで目が合っているように感じるのである。
こんな簡単に確認できてモデルへの指示だってたった一言で済むようなことすらまともにできないままダラダラと使い物にならない作品を世に出し続けているFANTASTICAというレーベルの制作現場はマジで馬鹿しかいないのかなと心配になる。
ちなみにアダルト業界はこんなこととっくのむかしに気づいていて、VRアダルトのかなり初期のある作品では「どこ見ればいいの?」「レンズじゃなくて、真ん中!」という女優とディレクターの現場のやり取りを見ることができる。
目線に限らずアダルトVR業界は表現の熟成にとても熱心で、2016~2017年頃の作品を発売順に見ていくと、様々なトライ&エラーを繰り返してカメラアングルや配置、技法や演出が日に日に洗練されていくのが見て取れる。
そしてアダルトVRにはCASANOVAというVR専業レーベルがあり、CASANOVAはおそらくFANTASTICAと同じ会社である。同じ制作会社のアダルト部門とグラビア部門みたいな感じだろう。そして不思議なことに、CASANOVAの作品では女優たちとちゃんと目が合うのである。
AV部門にはノウハウがあるが、グラビア部門に共有されていないか。