きっと施設長を刺殺した男性は「施設に裏切られた」という絶望に近い憎しみを抱いていたんだろうな。
仕事がうまく続かず、自宅では孤独と不安に襲われて、助けて欲しかったのに寒い街中に放り出された。
彼にとって3年間を過ごした施設は家であり、職員は両親以上の存在だったのかもしれない。
でも、結果として助けてくれなかった。
自分が向けていた愛は一方通行だったことに気付くと、その愛は憎しみに変わるから。
愛が深ければ深いほど、憎しみも深くなる。
施設の職員全員を殺したくなるほどの憎しみは、それほどの愛の裏返しだったりする。
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増田は児童ではないけど、生活の自立を目指す支援を仕事にしている。
支援対象者には定職を見つけて自立していく人もいるけど、自ら支援を拒否して去っていく人も少なくない。
自立しても失敗して着の身着のままで戻ってくる人もいる。
そのようなケースの中で一定数の人が「自分は悪くない。支援側が悪い」と主張してくる。
お金がないことが不安の真因なので生活保護などに繋げば溜飲が下がる。
上述のように信頼や愛が憎しみに変わってしまったパターンは特に大変だ。
日中に殺害予告のような電話を5分おきにかけてくることさえある。
でも、一度、謝罪をするとクセになって職員に対して威圧的な態度を取るようになってしまう(もちろん当方に落ち度があるときには謝る)。
どんなに脅されても警察は役に立たない。まるで「じゃ、刺されてから110番をしてください」みたいなことを平気で言ってくる。
相手が障がいを持っている場合は下手にこちらからプレッシャーをかけると虐待となってしまう。
結果として、職員は刺される覚悟でマイナスの状態から信頼関係を構築するために話し合うしかない。