「おしっこを漏らした」
その事実をようやく受け止めた頃、私はただぼんやりと薄汚いパンツを見つめていた。
事の発端は、夢だった。
もうどんな夢だか忘れてしまったが、夢の中で私はトイレに入り、用を足そうとした。小さい頃ならお漏らしフラグとしてかなり確実かつあるあるな場面だ。
でも、私はもう25歳。最後に漏らしたのは小学生の時だし(ゴミ出しに行くエレベーターの中で漏らした。9歳の時だった)、もうこれだけ大人になれば夢で用を足したって現実に影響が出ることはない。実際、今までも夢の中で用を足したことはあったが、漏らしたことはなかった。
異変に気づいたのはおしっこを20%ほど出した時だった。おや?と首を捻る。
『これはもしや、夢なのでは?』
そう思った次の瞬間には、自室のベッドの上だった。しかも、嫌なことに──おしっこの穴から、何かが漏れ出ていくような感覚が、した。
いや、でもこれはおしっこにいきたいという予兆なのかもしれない。すぐにベッドから飛び降りると、トイレへ急ぐ。そして、身体に残っていたおしっこの70%を出し切った時、私はただ何にも考えていない頭で、自分のパンツを触った。
湿っている。明らかに湿っている。
パジャマにしている、ジャージのズボンも触ってみる。そこもやっぱり、湿っていた。
漏らした。私は25歳にもなって、漏らしたのだ。
ここから後の行動は速かった。パンツとズボンを水でさっと洗ってから洗濯機へ投げ込み、新しいものへ履き替える。
シーツも湿っていたので雑巾でひたすらポンポンポンポン……と叩いて汚れを取った。
ベッド自体におしっこが染み込まなかったことだけが救いだった。
それから今日を過ごしたわけだけど、仕事をしている最中はずっと「私はおしっこを漏らしたんだ……」と変えようのない事実がずっと頭の中をついてきたし、上司に注意されても「大人にもなっておしっこを漏らした女に人権はないんだ……」と思ったし、何となくおしっこの穴が緩い気がした。
前に友人の家の風呂でうんこを漏らしたこともあるが、その感覚を少し思い出したような気がした。
今回のことで学んだのは、
・大人になっておしっこを漏らすのはたとえ家で、誰に見られてないとしても羞恥心が生まれる
・お漏らしの処理は楽(子どもの頃は途方にくれるしかなかったが、今では少なくともどう対処すれば良いのか分かる)
ということだろう。
男だけどなんか最近ずっと漏らしそうな感覚あるのにトイレ行っても出ない 残尿感のせいでずっとおしっこ我慢拷問が続く