しかも2人いる。
1人は50代の男の人。
足がスラッと伸びた長身の男性でひょうきんでお調子者な振る舞いをする。
誰にだって。私みたいな下っ端にも声やチョークスリーパーをかけて可愛がってくれた。
何より普段はひょうきん者やってる癖に仕事をさせれば誰よりも真面目で丁寧なの。
周りは真面目なふりしてめんどくさいことサボったり適度に手を抜いてるっていうのにその逆。
しかしどんなに真面目に働いても褒められない。おじさんだから。出来て当たり前だから。
だから「他人よりお仕事真面目に頑張ってるのが、好きです」と伝えたら、「なんで、そんなに嬉しいこというの!!!!」とひどく喜んでぎゅうっと抱きしめられてしまった。
かわいかった。
過度なスキンシップはあるが、他のクソジジイとは違って下心が無いっていうのがまた魅力だったと思う。
下心のある中年に言い寄られたり、セクハラを見聞きしたりするのに疲れていたので安心感があった。
父親が娘にするようなスキンシップがたまらなく好きだった。 そう私には父親がいない。
オシャレな女性の多い中で真っ黒な髪を短く切ってほぼすっぴんに丸メガネという素っ気ない見た目だったので印象が強かった。
私は非正規(仕事自体は正社員と変わらない)なので自分よりあとから入ってきた奴に何かと軽く見られて挨拶されなかったり無視されたりとか普通だった。
でもこのヒトはちゃんと挨拶してくれたし、年下の私にすら敬語を使ってペコペコしていた。
私が飲み会でセクハラゴミジジイに逆上して泣いた時も「〇〇さん大丈夫ですか…」と心配してくれた。
てかまず名前を覚えてくれていた。
非正規で他の課の下っ端のみんなが話しかけないような私の名前を。嬉しかった。
同じ仕事をしなくなってから最近久しぶりに彼女の課を訪ねたら、彼女の姿が変わっていた。
黒のショートカットだったのを、少しだけ暗い茶色に染めて軽くゆるゆるパーマをかけていた。
ほんの少しだけ目元にカラーのある化粧をして、服もスーツじゃなくてカジュアルなオフィスコーデになっていた。
正直めちゃくちゃかわいかった。
あの地味な子がここまで綺麗になるなんて。驚かされてしまった。
あまりに綺麗すぎて、挨拶しようと思っても声が出なかったので口パクパクしながら会釈だけした。
ヒトは強い感動を覚えると言葉が出なくなる。
この二人への気持ちは恋と呼ばずになんと呼ぶのだろう。
来年は仲良く出来るといいな。
いいねこういうの
チョークスリーパーと声の順序を入れ変えた方がおもしろいかもしれない