2015-09-02

どうしてデザイナーはお前らには理解できないと言いたがるか

それは「それで生活ができてしまっているから」です。

デザインは1案だけで許してもらうことはあまりなく

だいたい、クライアントに選択してもらうために

2案以上の準備をします。

その時にほぼ必ずといっていいほど

自分絶対にこれがいいと思う」な本気で手間とアイディアを込めたA案

「どうせこういうの好きなんだろ?」なありふれたわかりやすい楽で雑なB案を用意します。

そして殆ど場合B案が選ばれます

この時に、「またお金をもらうために媚びてしまった」とデザイナーは思います

A案のような尖ったものだけで選択肢構成することも出来たのに

揉めるのが面倒くさくて、わざとB案を混ぜて、そしてそれが順当に選ばれてしまったことに

なんともいえない後ろめたさを感じるからです。

A案はいつも社内では褒められます

クライアント提出前に他人の目を借りるのはよくあることで、

その際、デザイン勉強時間を注いで、お金をかけて、

休みの日は感性を磨くために古今東西作品を見に行っているような尊敬できる同僚

(もちろん彼らはバラバラの美学趣味を持っています)に

ぜったいA案のほうがいいと言われてしまうんです。

でも、何もデザイン作品を知らない人に選ばせると、これまた驚くほど統一して、B案がいいと言われてしまう。

これを365日×何年も繰り返していると

最初からB案だけをずらりと並べるようになっていきます

そして「貴方センスいいね」なんて言われてしまう。

そこで、違うんだ!と言えない悔しさを日々ためています

懺悔します。

「どうせこういうの好きなんでしょ?」とバカにしながら、それでお金をもらって

世間ダサいものを提出して放流しているのはこちら側なんです。

からいざこういう騒動になった時に「やっぱりそういうの好きなのか」と落胆するのは、とても卑怯だと思うんです。

それをいえるのは、A案だけを出し続けて、そのA案否定されても、

B案なんてあり得ない、と信念を貫いて相手を説得しきることを繰り返した「アーティスト」だけなんです。

からデザイナーはたいてい「アーティスト」に憧れています

佐野さんは、私達にとって「アーティスト」にみえていたんです。

(今となっては僕にもわからなくなってしまいましたが)

B案でご飯を食べているデザイナーほど、A案で突っ走れる人を眩しいと思うし、応援したくなる。

でもね、だからってね、B案を好きな人否定するのは間違ってます

そういう感性に浸けたのは誰か、っていうの、忘れちゃだめでしょう?

そう言いながら、貴方今日もB案を量産してるんじゃないんですか?

と、思わずはいられません。

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