2015-08-15

社会スターデザイナー必要としている

  

彼のデザインの何が良いのかさっぱりわからないという人たちへ。

  

ひとつ間違えて欲しくないのは、彼は「デザイナー」ではなく「スターデザイナー」というお仕事をしているということ。スターデザイナーデザイン審美的視点で見ても意味はない。

  

広告代理店スターデザイナーがいたほうが仕事を取りやすい。クライアントスターデザイナーがいたほうが依頼をしやすい。若いデザイナーにとってスターデザイナーおこぼれはありがたい。リクルート的にも憧れのスターデザイナーはいて欲しい。安心ブランド、憧れ、そういったものがあったほうが仕事は楽なのだ業界構造的にスターデザイナー必要とされている。それだけではない。

  

業界は盛り上がりが欲しい。社会的にいかに広告デザインは素晴らしい仕事か、存在するに足る職業かをアピールできなくては人やお金は集まらない。ただの人の発言には注目は集まらない。だから嘘でもスター必要になる。アイドルグループセンター必要なように。わかりやすアイコンがあり、それが魅力的ならば人は集まってくる。業界社会的地位のためにもスターデザイナー必要とされている。

  

必要からスターは作られる。スターの実際のアウトプットは本当にすごくなくてもいい。代理店業界紙がそういうことにすればいいのだ。あなたスターの作ったもの首をかしげるのは当然だ。アイドルが幻影でしかないようにスターもまた幻なのだから

  

しかしこれは業界内だけの話ではない。インターネットがこれだけ社会に浸透し、すべての価値が相対化される世の中でも、人はどこかに「絶対的にすごいこと」があって欲しいと希望している。そういう需要に、業界は「すごいこと」に見える幻を作り出して応えているだけなのだ。だから権威をつくり、賞をつくり、賞を与えて、スターをつくる。

  

しか私たちはすでに知っている。相対化された世界では、どこの誰とも知らない誰かが与えた評価意味はない。賞レースは身内の馴れ合いゲームしかない。うんこをしないアイドルはいない。

  

でもね。メジャーがなければマイナーは立たない。メインがなければサブは光らない。王道がなければ邪道もない。身も蓋もないことを言ってはロマンがないのだ。嘘の世界のほうが夢があるのだ。そして夢で膨らんだ幻は金になるのだ。

  

あなたにはスターデザイナーの作ったもの価値はわからない。インターネットの中にいるから。スター価値は相対化してはいけない。

  

彼の仕事評価を声高に問うあなたは、正義を行っているのかもしれない。でもその行いは社会から夢やロマンを剥ぎ取っていくことになる。

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