小学生のボランティア活動の事務局とかしてた。ボランティアで。
職場の異動に伴って他の人に事務局を渡して離れていたんだけど、企業の社会貢献と言うことで職場から予算を押しつけられた。
後任の事務局担当者と連絡を取って相談した結果、プロのインストラクターを招いて川っぺりで生き物の採集をする事になった。
ばったり会えば挨拶くらいは変わらずにされるくらいだったし、そんなに新鮮なものでもないけど、それでもいくつか。
一人、名字が変わっていた。
ああ、お母さんは再婚したんだ。
女の子は少し気恥ずかしそうに頷いた。
その子の新しいお父さんとは仕事で面識もあったし、ながく付き合っていた事も聞いていた。
僕はそこで一瞬止まってしまった。
相手がいけ好かなくて反対もして、結局僕の親の再婚は流れた。
ちょうどこの女の子と同じ年の頃だった。
……よかったね、お父さんができて。おめでとうでいいのかな?
結局、直接聞くとその子はやはり照れくさそうに頷いた。
幸せそうだ。
何となく、昔の僕も救われた気がした。
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少年は母親の別れた亭主の姓で、母親は旧姓に戻している。その上、母親の彼氏もいるので一世帯に三つの表札がいることになるのだけど、日々を楽しんでいる様だ。
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はっきり言えば、彼らの日常生活に口出しする必要はないのだ。だからそれ以上は別に聞かない。
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ただ「わたしは大人になったらタバコを吸う」と宣言した少女を思い出した。
僕がまだ団体の事務局を持っているときで、連絡簿には祖父母の家の電話番号が記載されていた。
母親は近所で部屋を借りて男と結婚して子供を育てていた。連絡簿の住所にはそちらの住所も併記されてはいた。
僕が通知文とかの関係でその子に実際にはどこに住んでいるのかを聞いた。
「お母さんのところにもよく遊びには行くんだよ」
じゃあ、そっちに住んでるんだね?
「でもね、お母さんのところには私の布団がないんだ。だから夕方にはおばあちゃんのところに帰るんだ」
「うん。でもね、もうちょっとしたらお母さんのとこに私も行って一緒に暮らす予定なの」
へえ、じゃあそうなったら教えて。そっちに送るようにするから。
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