2015-05-12

私が日本研究者187名の声明違和感を感じた理由

先日、日本をよく知る欧米日本在住の日本研究者187名から声明が発表された。


詳しい内容は以下の声明を見ていただければよい。


https://networks.h-net.org/system/files/contributed-files/japan-scholars-statement-2015.5.4-jpn_0.pdf

基本的には


民族主義者へのけん制日本に限らず中国韓国も含まれる)

安部総理への演説一定の評価をしつつ、歴史修正主義的な政治方向への苦言


といった内容だろうか。

もちろんこの解釈には異論もあるだろう。

実際あの声明はかなり抽象的であり、ある種宣誓のようなものであったのでかなり多様な解釈が可能になっているように思える。

ただ、この声明を私なりによく読んだうえで大きな違和感を覚えた。

端的に言えばこの声明は学問放棄イデオロギー唾棄してしまたからだ。

これだけではなかなか伝わらない部分もあるのでもう少し詳しく説明したいと思う。

正直なところ安部政権の過度な歴史学への介入は私も快くは思わない。

多くの人が言うように過去から存在した資料への誠実な向き合い方を阻害しかねないからだ。

この声明はそういった対応への苦言のようにも見える。

だが、それ以上に異常な状況だと思ってしまったのはこの声自体がその安部政権への鏡になってしまっているからだ。

声明の後半部分には以下のような記述がある。


・確かに彼女たちの証言はさまざまで、記憶もそれ自体一貫性をもっていません。しかしその証言は全体として心に訴えるものであり・・・

日本帝国の軍関係資料のかなりの部分は破棄されましたし、各地から女性調達した業者の行動はそもそも記録されていなかったかもしれません。


これははっきり言っててしまうと資料や細かい積み重ねなどどうでもよく被害者がいるのだから

そうでなければならないというある種の偏った視点からメッセージからだ。

安部政権批判しているつもりが自分たちで全く同じことをしようとしているのだ。

もしこのような考え方が歴史学全体を覆っているのであれば今後日本の歴史安部政権ではなくとも様々な形でゆがめられるだろう。

なぜなら歴史学者達そのもの真実の追及を放棄しているのだから

※まぁ、「歴史学者」を応援する「日本研究者」達であって彼らは「歴史学者」じゃないのかもしれませんが。

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