鳥飼茜の漫画『先生の白い嘘』第2巻の巻末に収録されている萩尾望都によるコメント(帯の表現を借りれば「鮮血のメッセージ」)がアツいので全文引用します。
東京都議会で「早く結婚した方が良い」と女性議員に野次が飛ぶ時、
笑ってヤジる男性議員は批判されるまでこれが女性差別だとは意識していない。
それぐらい女性差別は深くさりげなく、実にさりげなく浸透している。
日本は男社会だ。法的に平等であっても長年の慣習がそうはさせない。
女は社会の中で教育、就職、結婚、生活、育児、財産の所有において負担を強いられる。
その不平等や不公平が続いているのは女が弱者だから。弱者はどんなにいじめても良いのである。
しかし女は本当に弱者なのか。男は本当に強者なのか。不公平を強要するものは真の強者なのか。
生徒、緑川椿は気づいている。そして戦っている。
早藤も知っている。利用している。
生徒、新妻はまだ己を知らない。悩んでいる。
これまで存在していたのに誰も語ってこなかったものだ。語られてやっと見えるものになる。
ぎりぎりのところで語られている彼らの言葉は強い。あるときはおずおずと。
またはきっぱりと。暴力的に。攻撃的に。羨望と侮蔑。どれも言葉として深い。
そして、新しい。そして痛く恐ろしい。
男達よ。ページごとに谺する、女の叫びを聞くが良い。
女達よ。目覚めよ。たとえ痛い目覚めであっても。
たとえ理不尽な世界が変わらなくても、心を変えることはできる。笑い飛ばしても良い。
そして、生き残ろう。まだ、明日がある。
鳥飼茜はすごい。私を呆然とさせる、これほどの作品を描くのだから。
平凡な言い方だけど、がんばってください。目が離せません。
そして、暴力的なのに、品がいいです。
茜色の鳥って何