友人S(女の子)は、出会った頃は40キロあるか無いかの、今にも折れそうな女の子だった。可愛らしい風貌で、クラスの男女共に一目置く存在で、普段着も可愛らしい物を好んでいて、それが似合っていて、羨ましかった。
学校を卒業しても、私たちの関係は続いた。趣味が似ているし、話題が合うから、時々週末にあって、呑みに行ったり、互いの家を行き来したりしている。
卒業から、もう5年。彼女の体重は、今何キロだろう。80キロは優に超えていると、思う。けれども、可愛い物は未だに好きらしい。
この間感心したのは、彼女がライヴに行った後、ご飯を一緒に食べようとなって会った時、私と同じ卒業仲間のKとファミレスで待ち合わせをした時、「よく売ってたな…」と、思う位サイズがデカイロリータ服を着ていたからだ。いちお「可愛いね」と、言ったら、「コスプレとかで売ってる奴じゃなくて、ちゃんとした所のだから、やっぱり違うんだよ」と、力説された。需要と供給があるんだな…と、思った。
卒業後いわゆるヴィジュアル系バンドにはまったSは、メイクの方向もなんだか凄い方向に行ってしまって、顔面は真っ白、目の周りは崩れたパンダメイク(目の周りが真っ黒なのだが、丁寧に塗っていないらしく、何時も横にはみ出したり、塗りすぎたのか、上瞼も下瞼も真っ黒)、食い込んだメガネと、冬でも汗だく。
同窓会みたいな仲の良かった友達同士で集まった時も、そのメイクで、弾けそうな位パツパツのTシャツ(お気に入りのバンドのらしい)に、ミニスカートで、何故か靴がおばちゃんサンダルで……みんなSがトイレに行った時「バナナマンの日村が女装したみたいだ」と、一言。2次会に向かう道すがら、私が気になったのは、サイズがパツパツTシャツが鞄でめくりあがり、お腹のお肉が丸見えだったことだった。
「痩せなきゃって思うんだけど、何がいいか知ってる?」と、何度か聞かれた。ホットヨガ、水泳、ウォーキング…私たちがそれなりによかったものを薦めたが、どれも長続きしていないらしい。
この間、4ヶ月ぶりにSに会った。結婚した同級生が、旦那さんの友達も交えて鍋パーティーするから誘われて、新居にお邪魔した。ちょっと合コン風な人数構成、仕事の都合でSは後から来た。お尻まであるダボッとしたチュニック、短すぎるホットパンツの所為で何も下に履いていないみたいに見えて、びっくりした。かいがいしくしていたSだったが、服装がみんな気になって、会話も弾まなかった。まあ、私は出会いを求めていなかったから、いいんだけれども、帰り道でSが「母さんがそろそろ結婚しろって言うから、今日会った人の中で運命の人がいたらいいなー」と、言ったので、服装に納得したような、しないような…。
「電話番号交換したから、誰かから誘われるかも、来週」嬉しそうだったが、4ヶ月でまた太ったみたいだ。
Sを見る度に体重に気を付けるようになる。今日は休みだったから、3時間歩いてみた。暑さで休み休みだったけれども、すがすがしかった。
実際のところこういう「可愛かった子がすごく残念な容姿に」って展開本当にあるのかな? 私の周りでは大体「昔は厨二病こじらせたり私服デビューに失敗しちゃって残念ファッション...