2019-01-03

姉と一線越えかけた話

 元日、姉と会った。

 姉といっても、実際にはいとこだ。彼女は僕の5つ上で25歳。

 姉との関係が変わり始めたのは3年前。あの時も元日で、親戚一同が祖父母の家に会していた。

 その会で姉は結婚を発表した。それに便乗し母が僕に彼女ができたことを発表した。

 面倒だから彼女ができたことは伏せておきたかったのだが、おかげで姉と恋愛の話をすることができた。他の親戚が帰り、祖父母が眠った後も、こたつで温まりながら二人きりで一晩中話をした。こんなお店がデート向きだとか、こんなデートプラン楽しいよとか、二人とも実家なんだからセックスするときラブホテルを使えとか、池袋鶯谷にはラブホテルがたくさんあるとか、これから彼女とするであろう色々な事について、たくさん教えてもらった。

 それ以来、ことあるごとに姉とどこかに出かけたりメッセージを交わすようになった。

 僕が大学生になってからはその頻度がさらに上がって、毎月会うようになっていた。話題はいつも、僕の彼女の話と、姉の旦那さんについてだった。あとは社会についての難しい話とか、大学の話とか。何も気にせず話したいことを話した。姉が旦那浮気をされたときの話とか、最近彼女とした充実したセックスの話とか、本当に何でも話した。

 姉は僕が大人になっていくのをいつも喜んでくれた。好きな女の子がいることや、その子デートしたこと、付きあうことになったこと、始めて手を繋いだこと、キスしたことセックスしたことケンカしたこと、仲直りしたこと。一つ一つの経験を通して成長していく僕を、姉は好きだと言ってくれた。

 僕は幼い頃、姉の事が好きだった。異性としてではなかったと信じたいが、その愛の質は今でもわからない。とにかく、好きだった。

 だから彼女彼氏の話を楽しそうにするのを聞いているのは、特に僕がまだ小さかった頃はあまり面白くなかった。

 けれど僕にも彼女ができて、通りいっぺんの男女がすることを経験してから嫉妬も覚えなくなった。多分、僕が大人になったからだろう。

 転機は秋。「親戚じゃなかったら付き合いたかった」と言われて、僕の彼女への愛は少し色を変えた。親戚であることを喜び、呪った。親戚じゃなければ、きっと僕は姉のような魅力的な人間とここまで親密な仲になることはできなかった。けれど、親戚だからこそ彼女は僕の物にならない。

 姉とのセックス想像してしまった。あの艶めいた唇にキスをして、細くて美しい体に触れることが出来たらどんなに幸せだろう、と、最悪な欲望を抱いてしまった。

 その後しばらく忙しくて、僕は彼女に抱いた劣情のことも忘れていた。

 けれど元日、姉と会って、3年ぶりに夜を徹して会話をして、僕はあのどうしようもない自身の獣性を思い出してしまった。

 空が白んできた頃、客用の布団がないから、と1枚しかない布団に僕たちは当たり前のように同衾した。

 親戚だから。親戚だから僕は姉を異性としては見ないし、過ちは犯さない。そう、僕たちは本気で思っていた。

 実際、過ちはなかった。僕たちの一夜はプラトニックだった。手を握って、くすぐりあって、頭を撫で、抱きしめあっただけなのだから

 けれど、その触れあいはこれ以上ないくら背徳的だった。

 キスダメだよ。と姉は言った。

 大丈夫だよ。と僕は言った。

 お互いちゃんと解っていた。一線を越えてはいけない。

 けれど、お互い思っていた。自分パートナーがいなくて、目の前のこの子が親戚じゃなければよかったのに、と。

 お酒を飲んでいたから。眠かったから。寒かったから。いくつも言い訳を用意した。

 僕たちの間には何もなかった。僕らは何度もそう確認しあった。何もなかったのだから後ろめたい気持ちを抱く必要はない。人に話すこともない。僕たちは3年前のように、久しぶりに会ったいとこ同士、仲睦まじくお喋りをしていただけだ。

 夜が明け、また遊ぼうね、誘ってねと、何事もなかったような顔で彼女旦那さんが待つ家へ帰っていった。またね、と僕もいつもの笑顔彼女を見送った。

 何もなかったのに、彼女香りが、柔らかい肢体と硬い結婚指輪の感触が、上気した頬の色が、あぁやっちゃったなぁ、という呟きが、今でも記憶にこびりついて離れない。

  • 元増田のところではいとこ婚は禁止されているようだが、いとこ婚を推奨する記事を昔どっかで読んだなーとか思った 近すぎず、遠すぎず、ちょうどいいらしい。

  • 既婚女性と20歳の大学生に布団一組しか用意しない周りの大人が異常だし、既婚でそんなことをやってる姉(いとこ)もおかしい。 姉(いとこ)の旦那がかわいそうすぎる

  • ブコメ釣り師なのなら感心だね

  • いとこ云々じゃなくて不倫はだめだろ

  •                                                        anond:20190103055748

  • 5歳上のいとこの姉ちゃんと一線越えた高校時代の俺の話する?

  • セカンドパートナー

  • そこまでガチで家族(親やきょうだい)との絆、言われると、 増田さんの奥さんになる人って、すごくしんどそう。 強い家族や身内の絆に入っていけないものを感じる。 うちの祖父は...

  • なんかNHKの大人女子アニメで見たような話だな。

  • "手を握って、くすぐりあって、頭を撫で、抱きしめあっただけなのだから。" それ、やってるのと同じだよ。

  • きも 近親相姦すきはきもいっす

    • 安倍晋三「ほほう、そうなんですか? それは大変ですね。因みに私のパパとママと増田さんのいう近親相姦になると思うんですが……」

  • 身近な憧れの対象と一線越えたくなるのあるある。 越えなかった自分も相手も誉めてあげたい。 ただこの先ずっと一線越えたかったと思いながら自分を慰める人生を送るのがキツイ。

  • ああ、たまらん。 ボクも5つ年上のいとこのお姉さんに可愛がられて育ったので、いまだにシスコン気味で年上の女性が大好き。 初体験はお姉ちゃんでと夢想していたし、実際にそう...

  • おえー気色悪い

  • 何もなかったのに、彼女の香りが、柔らかい肢体と硬い結婚指輪の感触が、上気した頬の色が、あぁやっちゃったなぁ、という呟きが、今でも記憶にこびりついて離れない。 / これ...

    • だいじょうぶ。このお姉ちゃん既婚だから、この二人が一線を越えて子供ができたとしても、そのまま産めばいいんだし。何も悩むことはない。 女が未婚だとこうはいかない。そこが...

  • なんか、ブコメを見ると、従姉のことをお姉さんと呼ぶことに強い違和感が表明されているんだけど、親しい従姉なら「お姉ちゃん」とか「◯◯姉さん」とか普通に呼ぶんじゃないの? ...

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