父は知的障害だ。話が通じない。
幸いにして私にはきっと遺伝していない。びっくりするくらい数学が苦手だけれど、日々の生活には困らないレベルだ。
彼はとにかく気にいらないことがあると、騒ぎ散らす。言語に障害を抱えているらしい。幼児レベルの――死ねとか殺すとか、燃やすとか、語彙力の死にきった文句を喚くのだ。うち賃貸のマンションなのに。ちなみに苦情が来たことはない。これにも驚きが隠せない。
ちなみに父のスイッチが入るタイミングはわからない。なんてことないことですぐに機嫌を損ね、騒ぎ暴力をふるう。
学校とか、勉強とか、そういうことにトラウマがあるらしい。そりゃあその語彙力じゃまともに授業も理解できなかったことだろう。私が勉強をしているのを、邪魔してくる。私は楽しくて勉強しているけれど、あの人からしたら文字ってだけで恐ろしいものなのだ。だから、私達は分かり合えない。
父は作業所でなんとか働いている。けれど、そこでいらないとか言われたとか言われてないとかで今ずっと家にいる。私の就活に関することにも首を突っ込んできて、ここ一週間こちらもだいぶメンタルに来ている。そんな素振りお首にも出さないけれど。
何度も離婚しろと母に詰め寄った。母はストーカーと化す可能性に対して危惧している。大学に行かせてくれていることにはこの上なく感謝しているけれど、今までの積み重ねを思うと、父親に殴り殺されればいいのでは?と思う時もある。そんな度胸は父にはないが。
父がこんなに歪んだのは、父の両親、私からすれば祖父母に多大な問題があるのだ。それをわからせようとしても、私の話す言葉が理解出来無いから、ずっと無意味なのだ。多分壁にでも話してるほうが生産性があるレベル。結局父は両親を恨みながらも、認められたいのだ。
私も私で父にとらわれている。
性的被害にあったわけではないけれど、他人に触られるのが怖くてたまらないのだ。場合によっては過呼吸のようになる。普通だった私を返してほしい。そもそも普通だった時期があるか曖昧だけれども。
父は私を20歳を超えた人間だと分かれないのだ。そして、自分が何歳かもわかっていない。いつまでも周りが可愛い可愛いと世話を焼いてくれる弟のつもりなのだ。アラフィフにして。痛いな。
私が家を出て行ったら、この人たちはどう暮らすのだろう。好きにすればいい。私の人生ではない。けれど思うのだ。どこまで両親は私の影のように、私についてくる?
二十歳を超えたら私の責任でもある。全て親のせいにはできない。愛着の問題とか、その他諸々、私が上手いこと向き合って、理解してくれる人とゆっくり関係を構築するしか無い。
私の家には、宇宙人がいる。
永遠に分かり合いようのない、分かり合うための道具がない人がいる。
私が帰りたい家は、どうしたら築けるのだろう。それをずっと、考えている。
父は私を20歳を超えた人間だと分かれないのだ。 「分からない」ね。 あんた頭大丈夫?
マジで家出るしか無いだろうね。 連絡先は教えていい。すごく離れた所に行けばいい。滅多に会えない。 となると両親との関係性も変わってくるよ。 家族から、だんだん、大事なお客...