2012-08-12

ホスト弟子、1時限目

夏休みになったが、彼女もおらず、友達帰郷してしまったので新しくバイトをはじめることにした。バイト雑誌をぺらぺらとめくっていたら、まかない付き20時〜早朝5時、時給1800円というバイトを見つけた。深夜とは言え、かなりの高めの時給だったので、さっそく面接に行ってみた。

そこはホストクラブだった。僕は、年齢=彼女いない歴=DTで、けっこうなコミュ障ホストクラブだって知ってたら、絶対受けないのにと後悔した。

受かるわけがないと思った面接だったが、翌日店長から電話をもらった。厨房ドリンクスタッフ採用だった。ホストじゃないので時給が下がるのかと思ったが、1800円のままで良いという。僕は、そのラッキーなその申し出に、翌日からさっそく働きはじめた。

厨房の専任スタッフは僕だけだった。いままで厨房担当していたホストの先輩から、器具の置き場と店のメニュー(フルーツもりあわせとか、おつけものとか簡単なもの)の説明を受けると、初日から一人で仕事をすることになった。

とても不安だったが、前に働いていたイタリア料理屋と比べれば全然暇だった。適当に切りものを盛りつけて、あとは皿やグラスを洗うだけ。カクテルも難しい注文はほとんどなく、お客さんのカシスオレンジを作るぐらいのものだ。実はお店には厨房スタッフがおらず、相当困っていたらしい。僕は、すぐに重宝され1週間経った頃には、職場になれた。

職場に慣れると、まわりの様子も見えるようになった。ホスト同士の仲は良かった。「ナンバー1争いで熾烈をきわめる」みたいなテレビバラエティのようなことはなく、営業が終わると皆で飲みに行くこともしばしばだった。みんな酒が強かった。

僕はすぐに気を許してしまい、酔っ払って、うっかり自分が「童貞であることを口走ってしまった。

そして、彼女ほしいと打ち明けてしまった。みんなニヤニヤと軽く笑っていた。

翌日、僕はナンバー1の翔さんに僕は呼ばれた。「おまえ、もてたいか?」翔さんは開口一番そう言った。

僕は、意味が解らなかった。が、すぐに昨日のよっぱらって口ずさんだ事だと気付いた。

僕はものすごい不安と、それを上回る好奇心でいっぱいになった。

ゆっくり首を縦に振ると「はい。。。」と声にだした。翔さんはふーっと息を吐くと


「よし。おまえ今日から俺の弟子になれ。3ヶ月後に絶対にもてさせてやる。その代わり、俺の言うことは絶対聞け。できないというのなし。」と言った。その日から厨房スタッフ兼、ホスト弟子になった。

ホスト弟子は、厨房で見ていたころとは違い、とても過酷だった。お客さんに出すグラスのタイミング、話題をつなげるための相づち、たばこの火の出し方、すべてがすべてよく解らなかった。めちゃくちゃ優しかった仲間のホストたちは、手のひらを返したように「つかえない新人ホスト」の僕に厳しかった。

そもそもコミュ障自分にとって、女性と話すことは不可能に近かった。

かねた翔さんは休み日曜日、僕を竹下通りに連れ出した。

「よし、これから竹下通りを抜けるまでに50人の女の子に話しかけろ。無視されても、とにかく話しかけろ」僕は絶望した。サークルの勧誘すらまともにできないのに、いきなりストリートナンパをさせるという。しかし、わざわざ休みにつきあってくれている翔さんに申し訳なかった。というかびびった。僕は、あきらめて声をかけることにした。

そして、2時間・・・

50人全員に無視された。

僕は、その結果を報告した。すると、翔さんはもう一度50人に声をかけろと言った。やけくそになった僕はまた繰り返した。

さらに、1時間・・・

やはり50人に無視された。

そして、そのことをまた報告した。翔さんは満足げな顔をして、今日は終わりと告げた。僕はなにがなんだか解らなかった。ただただ疲れただけだった。翌日店に入ると、厨房仕事をそこそこに、新しいお客さんのサポートにつけられた。

僕は「今日暑いですよね。何か飲みますか?」とすぐに声をかけた。自分もびっくりした。昨日までは、先輩ホストが話しかけるまで何も言葉が出なかったのに、自然と口をついて出た。その後、お客さんと楽しく話が・・・できるわけは無かったが、終止なごやかな雰囲気で送ることができた。

翔さんに、僕はその不思議な出来事を伝えた。すると、翔さんは言った。

「お前は、そもそも最初言葉をかけるバリエーションがなかった。そして、度胸もなかった。だからドギマギして空気をブチ壊してたんだ。まずは、話かける準備ができるようになること。それが大事だったんだよ。最初、2時間かかってた50人への声かけが、次の50人では1時間になっただろ?それは、お前が慣れた証拠なんだよ。まあ、まだ長いこと話をするのは無理そうだけどな。そのうち、そのテクニックも教えてやるよ。」

僕は心と目頭があつくなるのを感じた。

むちゃくちゃ言う先輩だけど、この人について行こうと思った。。。

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たくさんの支援ありがとうございます。2時限目 書きました。

http://anond.hatelabo.jp/20120815224711

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  • http://anond.hatelabo.jp/20120812171545 (※たくさんのブックマークありがとうございます。初めてのかたは、コチラからどうぞ「ホストの弟子、1限目」) ----- それから、1週間が経った。僕...

  • 高級時給に釣られ、ホスト店で厨房のバイトをしはじめてから、この水曜日でちょうど1ヶ月が経った。みんなの前でよっぱらって、思わず彼女が欲しいと叫んだために、お店のナンバ...

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