2011-02-17

学位審査終わった。

学位審査が終わりました

いろんな意味で終わりました

研究内容だけど、新しいことはそこそこ見つけたし論文もそこそこ出したけど、でもこの系が完全に解明されました、というところまでは到底持っていけなかった。

博士学位って、新しいものを確立しきって初めてOKのようなイメージがあったし、修士のような途中経過じゃ許されないと思ってたので、卒業は延ばそうと思ってた。

しかし、D3の春にお会いし先生からお声がかかり、ぜひ来年からポスドクできてくれ、と言われた。

そこでうちのボスは快く承諾。

大丈夫です、出しまから!」

電話で元気な返事をしているのを聞いた。

いや、声かけてくれたのはすごく嬉しいし、こんなご時勢に就活もせずにオファーが来るなんてありがたいものだ、とは思ったけど。

学位どうすんのよ?」っていうのが素直な気持ちだった。

すでに研究は行き詰っていたし、不完全な結果しかない。

更新しいことできるわけもないけど、なんとか知恵をしぼって新しい仮説を創造して検証をする。

まあ、散々考えた末に行き詰ってたわけで、無理やり考えた説をもとに急に頑張っても成功するはずもなく。

結局、不完全なまま、そこそこ確立されたかのように博士論文を書いて挑むことに。

から自分研究の足りなさは自分が一番わかっているし、ただ卒業するためだけのための日々の作業でストレスたまりまくる。

この作業って研究とはかけ離れてるし、学問的な価値もない、ただ学位だけのためだよなあ、と思うほどつらい。

でも、こうなってしまった以上、学位は欲しい

からしなきゃいけない。

でも、本当はきちんと完成してからたい

でも仕事があるならそこに行きたい

同じラボに何年もいたら腐ってくるし。


で、そういう雰囲気が伝わってたのか、准教授先生はなぐさめてくれた。

学位を出さないってことにはならない。文句を言われるのは俺らの役目だから

そう言ってくれた。

ボスは、大丈夫大丈夫! しか言わないしクリティカルアドバイスもなし。

ああ、発表は炎上するだろうな、と思いながら今日審査会へ。

思ったとおり、大炎上

さすがに教授陣、迫力があって圧倒される。

そしてそんなに間違ったことは言わないので、つい認めそうになる。

でも、先生の指摘は正しくても、俺の説を否定するのは間違ってるんじゃないかな、ということに途中から冷静になって気付く。

一応、いや、このデータは僕は意味があると思います、とだけ貫いて終了。

いや、これはもう炎上したな、というにふさわしい発表だった。

やれることはやった。

から、ハラハラして結果を気にしたりはしなかった。

もう何もできないなあ、どうしようもないなあ、という気分で、すごくねむいような、頭の電源がきれるような気分だった。

准教授先生が言ってくれた「俺らの役目だから」って言葉を思い出す。

今頃先生、血を吹いてるかもしれん……

先生寿命縮めてごめん。

時間がたつほど、ダメかもしれんな、という気分になってドキドキ、というか、ズキズキしてきた。

でも、なんとか先生審査会でがんばって通してくれた。

これで学位取得は確定。

本当だったら、ほっとしたり、解放された感じになるんだろうけど、消耗しきっていたので、まだどんよりしている。

「なんとか大丈夫だった」

「すいません」

これが審査会後のボスとのやりとり。

なんだかなあ。


しかし、これで鬱々した生活が終わる。

行き詰って二年たつテーマから解放される。

しかも、行き先は新しく立ち上がるラボポスドクなので、テーマも考え放題、なんだと思う。

これで、行き詰った過去と向き合わないで、これから未来だけを見て生きていけるんじゃないか

小2から20年間住んだこの土地から解放される。

彼女とは遠距離になるけど、新しい土地での暮らしは少し楽しみでもある。

ああ、学位をとらなかったら、来年度も鬱々として変わらない生活を送ったんだろう。

研究は少しずつ完成に近づいたかもしれないけど、完璧仕事をすることに、何の意味があるだろう。

学位は、とってしまえばただの資格なんだ、内容じゃない。

就職から声をかけてもらって以来、学位を得る前提の未来を見ていたんだなあ、と気付く。

いい研究をして出たかった気持ちも嘘じゃないけど、やっぱり僕は、そんな理想より、泥臭くていいか学位が欲しかったんだと思う。

研究に生きている人間は、人生選択肢理想を選びやすい傾向があると思うし、それは自分過大評価することでもあると思う。

から、半ば強引にでも出してくれてよかった、と今は思う。


今日から言える。

研究を前提とせず、人間として生きることを一番の前提として考えなきゃいけない、それが研究のためでもある。

そして、学位はできるだけはやくとったほうがいい。


ボスが今晩は飲もうと張り切っている。

ムカついたり、頭おかしいんじゃないかと思ったこともあるけど、振り返れば6年間で、ボスには感謝してもしきれないほどの恩をうけたなあ、と改めて思う。

先生ありがとう。

今日は飲んだら、まどかマギカ見れる時間に帰ってゆっくります

次の大学では、今以上に頑張ります

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