2024-10-17

あれはセクハラ電話だったのか?

20ちょっと前、私がひとり暮らし一年目の女子大生だった頃の話だ。

当時は、携帯電話も持っていたけれど自宅の固定電話もまだまだ現役で、ネット回線セールスとか支持政党アンケートとかそんな電話がかかってくることも珍しくなかった。

ある日、まだ明るい時間帯だったと思う、電話がかかってきた。大学研究のために広く電話アンケートを行っているという。

当時私は大学一年生で、講義前後にお邪魔しますと先輩学生教室に入ってきて、卒論アンケートに協力をお願いしますなんて言われるのがしょっちゅうだった。だから、この電話にも(はいはい。またアンケートね、協力いたしますよ)程度のものだった。

肛門性交についてアンケートをとっている」という。若い男性の声で、誠実さとたどたどしさが混じり合ったような、いかにも緊張した真面目な大学生みたいな声だったと思う。

だいぶニッチ研究だなあ。とは思ったが、なにぶん当時は大学毎日のように、

背中に触られたらくすぐったいか。5段階でどのくらいのくすぐったさか。

手の甲に触られたらくすぐったいか。5段階でどのくらいのくすぐったさか。

自分で手の甲に触ったらくすぐったいか。5段階で(略)。

実験者と被験者で30分ほど歓談し、もう一度触ってみる。親しくなった後でくすぐったさに変化はあったか

…なんて実験を、相手を変えて延々と13時から17時過ぎまでやってたのである

実験だのアンケートだのは、心を無にして淡々と進めるに限る。でないと、いつまでも終わらないし帰れない。というのがすっかり身に染み付いていた。

肛門性交をご存知ですか?」「知ってます

肛門性交のご経験はありますか?」「ないです」

肛門性交にご興味はありますか?」「ないです」

淡々一問一答である

パートナー肛門性交してみたいと誘われたら、応じますか?」「いやー、わからないですね」

家族、ご友人などに肛門性交したことがあるという人はいますか?」「いやー、わからないですね」

アンケートは以上です。研究にご協力いただきありがとうございました」「おつかれさまでしたー」

受話器ガチャ



あれ、えっち電話だったのかなあ。

今でも、教授から変なテーマ割り当てられちゃった可哀想学生さんだったんじゃないかと思ってるんだけど、

えっち電話だったのかなあ……

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