2024-10-13

[] すでにリスク選好の理論は存在する

期待効用理論公理的基礎

von Neumann-Morgenstern の期待効用理論は以下の公理に基づいています

1. 完備性

2. 推移性

3. 連続

4. 独立

これらの公理を満たす選好関係は、期待効用関数 U: X → ℝ で表現できます

リスク選好の数学的定式化

確率空間 (Ω, F, P) 上で定義された確率変数 X を考えます

リスク回避

定義: ∀ X, E[U(X)] ≤ U(E[X])

数学的特徴:

  • U''(x) < 0 (狭義の凹関数)
  • -U''(x)/U'(x) > 0 (Arrow-Pratt 測度)
リスク中立

定義: ∀ X, E[U(X)] = U(E[X])

数学的特徴:

リスク愛好

定義: ∀ X, E[U(X)] ≥ U(E[X])

数学的特徴:

  • U''(x) > 0 (狭義の凸関数)
  • -U''(x)/U'(x) < 0

高次のリスク選好

Pratt-Arrow の枠組みを拡張し、高次のリスク選好を定義できます

1. 慎重性 (Prudence): U'''(x) > 0

2. 気転 (Temperance): U''''(x) < 0

これらは、予防的貯蓄や分散投資行動の説明に用いられます

確率優位性理論

1. 一次確率優位 (FSD): ∀x, F(x) ≤ G(x)

2. 二次確率優位 (SSD): ∀x, ∫[F(t) - G(t)]dt ≤ 0

SSDリスク回避的な意思決定者の選好と整合的です。

一般化された期待効用理論

Machina (1982) の一般化された期待効用理論では、局所効用関数 U(x;F) を導入し、非期待効用モデル包含する枠組みを提供しています

属性効用理論

複数属性を持つ結果に対するリスク選好を扱います

U(x₁, ..., xₙ) = f(U₁(x₁), ..., Uₙ(xₙ))

ここで、相互効用独立性や加法独立性などの条件が重要になります

動的一貫性時間選好

動的プログラミング文脈で、Bellman 方程式を用いてリスク選好の時間一貫性分析できます

V(s) = max{U(c) + βE[V(s')]}

ここで β は割引因子、s は状態変数です。

非期待効用理論

1. ランク依存期待効用理論 (Quiggin, 1982)

2. プロスペクト理論 (Kahneman & Tversky, 1979)

- 価値関数: v(x) = x^α if x ≥ 0; -λ(-x)^β if x < 0

- 確率加重関数: w(p) = p^γ / (p^γ + (1-p)^γ)^(1/γ)

これらのモデルは、期待効用理論では説明できない現象(例:Allais のパラドックス)を説明します。

記事への反応 -
  • 確信してるんだけど、あまり丁度いい言葉がないんだよね その人が「どれだけリスクを好むか」という変数、確実にあると思う   例えば、次のような期待値が同じくじ引きがあったら...

    • 期待効用理論の公理的基礎 von Neumann-Morgenstern の期待効用理論は以下の公理に基づいています: 1. 完備性 2. 推移性 3. 連続性 4. 独立性 これらの公理を満たす選好関係は、期待効用関数 ...

    • リスク選好型は効用期待値最大化型であって、効用最大値最大化型ではない。宝くじが愚者の税金と呼ばれるのは後者をターゲットにしてるから。期待値がほぼ半額だから、いわゆる増...

      • x リスク選好型 o リスク中立型 いい加減覚えようやで👍️

    • もちろんADHDですよね 私もです

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