絶対権力者がどんな人間を幹部に取り立てるかって言ったら、そりゃあ自分に従うやつでしょ。組織全体の最適人材なんかじゃない。権力者にとって都合がいい、心地よい人材が登用される。
どうして民主的な社会なのに、ほとんどの会社で上を向いて仕事するやつが偉くなるのかというと、トップは民主的に決まるわけではないから。
サラリーマンだった時に、上司は社長が出席する会議をそれはそれは重要視していて、部下である増田にも最重要視するように求めてきた。
理屈でそう動いているというよりは、偉い人と直接接することができる機会が嬉しくて仕方がない様子だった。
一方、増田にとって会議なんて不毛で、現場の専門性を知らない社長なんて誰でも良かったし、現場の都合で会議に出ないことが多かった。
社長が殊更に嫌いだったわけでもないし、会議の必要性もある程度理解していたし、増田がプレゼンするような時はしっかり資料を作って出席していたけれど、置物でも構わないような時は目の前のお客さんを優先した。
上司のような人達は心から権力と権力者が好きであり、理屈ではなく感情で上を向いて仕事をしている。自分が現場よりも上が好きなのでそれが当然であり、現場を優先する一般人の行動を理屈では理解できても感覚や感情として感じることはできないのだろう。
だから結局権力層には、上を向いて仕事をする人間だけが集まる。自分は上が大好きなので、部下がそうでないと理解できずパワハラになる。自分にとっての当たり前ができていないんだからイライラするだろう。目の前のお客さまより会議が大事なのなんて管理職なら当たり前でしょってこと。それを理屈じゃなく当たり前の感覚でないとダメなんだろう。
維新の斎藤元彦への評価が高いのはそういうことでしょ。上司のために最大限奉仕する人なんでしょう。評価は高かったんじゃないの。まさかこんなことする人には見えなかったのでは。
でも元彦は知事になり、元彦の中では絶対権力者になったはずだった。
何で絶対権力者である自分に部下が最大限奉仕しないのか肌感覚で理解できないのでは。自分は当たり前に奉仕してきたのでしょう。
「上には弱いクセに」ってよく言われるけど、「上に弱いからこそ」なんだよね。全ての人間が自分と同じで上に弱いのが当然の世界観だから。